内容説明
松浦西小学校に5年3組の担任としてやってきたのは、手と足がない先生、赤尾慎之介。「フツーって何だろう」「一番を目指す意味って?」――個性豊かな28人の子どもたちと赤尾先生は、幾つもの“事件”を通して、大切なことに気づいていく。三年間の教員生活から生まれた著者初の小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
64
想像したとおりの内容。だからといってつまらなかったわけではない。読んでいて二度ばかり目頭を熱くした。知ってはいたが乙武さんはやはり凄い。前向きである。気をつけたいのは乙武さんが障害者のスタンダードではないこと。それどころか、その積極性と屈託の無さは健常者をもしのぐ。少々異論を唱えさせていただくなら、なにも手足を無くされてまで高尾山に登る必要はありません。プールに飛び込む必要も。先生が子どもに対して「悩みを解決してあげられなくてゴメンナサイ」と謝ってはいけません。ただ、子どもに寄り添ってあげればよいのです。2012/12/29
katsubek
41
ibook。ちょっとまっすぐすぎないかと思ったり、いや、だからこそいいんだろうなと思い直したりしてみる。小学生たちの表情がみずみずしく書かれている。卒業式の日に担任の先生にサプライズで歌をプレゼントしようと他の先生方を説得しているという娘たちの姿がダブって見えた。勇気をもらえる本である。2014/01/24
湘子
41
乙武くんの教師時代の実体験に基づいた小説。障害者である主人公が小学校の先生になり、奮闘する1年間の出来事が綴られています。どれもこれもリアルで情景が目に浮かび興味深く読めました。健気な子ども達の姿に私は随所で涙がじわじわ。子供でも読みやすいように、ふりがなも多くつけられているという配慮も素敵。映画も3月に公開だそうで、ぜひ観てみたいと思いました。2013/01/06
再び読書
29
乙武氏の教師体験に基づいた小説。「だいじょうぶ」という言葉を子供たちは待ち望んでいるのが、凄く切実に伝わってくる。夜回り先生訴えている子供たちへのケアがこの「だいじょうぶ」という言葉に思われる。本当に教師という職業は難しく、やりがいのあるものと感じられる。この情熱を親に伝えられる教育環境にして欲しい。昨今の親の無責任さを見ると、切実に感じる。親の教育は子供が社会に適応出来る様、人を思いやり集団で生きていける術を教える事だと思う。2013/06/29
ぐっち
17
「自分を愛する力」を読んだ勢いで、積読していたこれも読みました。「自分を~」とかぶるところも多かったです。ちょっとでも外れたこと(クラスでお花見をする、クリスマス会をする)をしようとすると、他の教師から横やりが入り、みんな横並びにするように言われるところが印象に残りました。「ふつう」じゃないことをふつうに認められるようになるのはなかなか難しいですね。2013/05/18