内容説明
紀ノ川康樹は超高級住宅街の警備員。資産はあるがクセもある住人達を相手に、薄給にもめげず、万全のセキュリティのため日々仕事に邁進していた。ある日、パトロール中に発見した死体を契機に、康樹は住人達の欲望と妄想に巻き込まれていく――。閉鎖的な空間で暮らす人々の視野が歪に変貌していく様を鋭く描いた痛快エンターテインメント小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tsuyoshi
69
大学のキャンパス跡地にできた高い壁に囲まれ高級住宅地「マナトキオ」に住む人々や24時間態勢で警備にあたる警備員、出入りする委託業者などを描いた作品。登場する住民たちの選民意識がの高さ、見下し、金欲、自己保身等はセレブへの皮肉たっぷりで翻弄される警備員や業者がどうなるんだろうと引き込まれて読めた。ラストはどんでん返しでのハッピーエンドにスッキリ。面白かったです。 2018/01/19
Rin
55
上流階級の人々の住まう町「マナトキオ」。でも、中を覗けば誰もが振り切っちゃっている。迷走し、妄想し、暴走している。その行き過ぎた行動や、心の声が面白く、転がっていくような展開に飽きも来なくて楽しい。そんな中で庶民でもある警備員と出入り業者の人々。彼らが持っている感覚は一般的なものなのだと思うけど、マナトキオの住人との対比で輝いて見えてしまう。見栄と体裁、プライドや己のステータス。それらのために、どこまで自分本位に振舞って他者を蔑にしているのか。コミカルさもありながら最後は不気味さも。気軽に読める一冊。2016/12/23
ココ(coco)
38
☆☆☆★山田宗樹さん、何冊目かわからないけど、久しぶりです。マナトキオという架空の街を舞台にした群像劇です。最後はちょっとドタバタコメディーになりかけましたが、面白かったです。マナトキオの住民の様に、金や名誉、地位だけに囚われる事なく生きていきたいと思った。2018/08/13
Junichi Yamaguchi
27
『意地悪な神様』… 登場人物の7割ぐらいが、お目にかかったことのないぐらいの癖ありセレブ… だからか、登場人物が多いわりに名前と人物像が早い段階で一致した。 タイトルどおりの乱心タウンの極論に近い、お金や格差の話に頭がクラクラし、ラストが何か次に繋がる期待を感じた。。2017/03/09
かんちゃん
27
三文書評(そんな言葉があるかどうか知らないが)ならば「ノンストップエンタメ」などと書くのだろう。目まぐるしく変化する場面展開、個性的な登場人物たちが躍動する。……セレブの街「マナトキオ」。そこに住まうのは身勝手な金の亡者たち。塀の外の人間を「底辺」と蔑む。……面白おかしいエンタメ小説、いわば喜劇だ。だが、塀に囲まれたセレブの街「マナトキオ」を日本に見立てたとしたら。ずいぶん風刺のきいた喜劇ではないか!2017/01/03