内容説明
いつまでも原稿が進まない!? マンボウ氏が遺した爆笑私小説――シベリア抑留をテーマに純文学を書くことになった私は、ホテルにカンヅメになる前に、ふと立ち寄った場外馬券場で思わぬトラブルに見舞われ、さらにホテルでも大騒動が……いつまでも原稿が進まない作家の悲哀を描く爆笑の表題作ほか、孫との交流が微笑ましい「デンヤ」、破天荒なユーモア野球小説「日米ワールド・シリーズ」の全三作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiro
28
表題作は、作家(北さん自身)のカンヅメの様子が、いつものユーモアある文章で描かれていて楽しく読めた。また『日米ワールド・シリーズ』は、阪神ファン、野球ファンとしての北さんがよくわかる作品であった。しかし、この本は北さんの作品を多く読んできた北ファンには、面白さがわかっても、残念ながら北ファンでない人には、北さんのユーモアを理解しづらいと思う。そういう意味では、残念ながら北杜夫ファン向けの本だと思う。初めて北杜夫を読む人には『どくとるマンボウ』シリーズや純文学の『楡家の人びと』をお勧めします。2012/11/12
双海(ふたみ)
18
ところどころ声を出して笑いました。ユーモアって大事。北杜夫、万歳。2015/08/12
そうたそ
7
★★★☆☆ 久々に読んだ北杜夫。「デンヤ」と表題作は北杜夫さんの日常を描いた私小説、というか個人的にはどうもエッセイという方が正しいような気もしたのだが、北杜夫さん曰く私小説。「デンヤ」は小品といった感じである一方で、表題作はホテルにカンヅメになった北杜夫さんの周りで起こった様々な騒動が面白おかしく描かれている。収録作品のもうひとつ、「日米ワールドシリーズ」は何というかドタバタ劇である。ユーモアの種類がこちらはまた少し違う。思わず途中で置いていかれそうになるような展開。まずまずといったところ。2013/03/08
ゆかっぴ
5
書けないドタバタを面白く読ませてくれる表題作。いつもこんな状況の中から数々の素敵な作品を書いてこられたのかなと思ってみたり…これまでありがとう、と言いたい気分です。2012/11/02
k_samukawa
5
表紙に使われている写真は非常によい一枚だと思う。さて、収録作品について。「デンヤ」は晩年に多く書かれた孫のフミ君に関するエッセイで、その中では初期のもの。表題作は、書けなかった小説に関する私小説めいたエッセイ。躁病期特有のガチャガチャした文章が楽しい。「日米ワールド・シリーズ」は中編ユーモア小説で、この種のものとしてはほぼ最後と思われる。読者としてはとにかく北杜夫作品が読める幸せを味わえるものであり、『あくびノオト』の如きごった煮感が面白い一冊。坪内祐三の解説は全く以て無粋である。2012/10/25
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