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内容説明
鉄道、医療、バス、原発、温泉施設…事故が起きるたびに、責任が問われ、規制が強まり、対策がとられる。
だが、安全対策によって「安全・安心」は高まったと言えるのか。
著者は、安全対策によって人間の行動はどのように変化するのか、そこにこそ注目すべきと説く。
事故や病気や失敗のリスクを減らすはずの対策や訓練が、往々にしてリスクを増やすことになるのはなぜか、人間の心理とリスク行動に光を当てる。
さらにリスク行動の個人差、リスク・コミュニケーション、リスク・マネジメントにまで踏みこむ。
目次
第1章 安全装置が裏目に出るとき
第2章 失敗は訓練で防げない
第3章 リスク・ホメオスタシス理論
第4章 なぜ人はリスクを求めるのか
第5章 なぜ事故が起きるのか
第6章 リスク認知とリスク判断
第7章 リスク・コミュニケーション
第8章 リスク行動の個人差
第9章 リスクと共存する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
25
リスクをとることは利益につながるので、人々は事故や病気のリスクをある程度受け入れている。程度がリスク目標水準(58頁)。リスクとは結果の不確実性(72頁)。主観的効用最大化説とは、主観的な効用最大化行動を選択する仮説(81頁)。リスク・テイキングとは、リスクに気づいていながらそのリスクをとること(92頁)。安全とはリスクが受容できるレベルより低いこと。安心とは安全かの情報は知らないが、専門家などを信頼してリスクの存在を忘れられる心理状態(142頁)。マネージとはやりくりすること(176頁~)。2015/01/29
yuki
20
リスク・ホメオスタシス理論、いかにも難しい響きだが、エアコンの室温調節になぞらえた説明が分かりやすく、興味を持って読むことができた。印象的なのは、運転教習について述べられた部分。1968年のイギリスのデータでは、プロのインストラクターより、友人や親戚から教わった方が事故率が低かったのだそうだ。事故防止に繋がるかは不明だが、昨年免許を取得したばかりの私の実感として、教習中より教習後に家族から教わったことの方が難しく、かつ重要だったように思う。安全対策は時として人々の心に油断を生む・・・面白かった。2013/07/02
Q
11
リミテッドより ●安全対策が成果を上げるのは対策によって人間の行動が変わるか。工学の問題だはなく心理学の問題 ●安心は最大の敵 ●リスク補償行動 低下したリスクを埋め合わせするように行動が変化し元のリスク水準に戻してしまう ●ルール違反を起こす要因は知らない、理解してない、納得してない、みんなやってない、注意・罰則を受けない ●リスクを過小視 正常性バイアス ●危険を知らせパニック<パニック恐れ知らせないリスク ▷安全装置等を入れてリスクを下げても過信してリスクを戻す。謙虚に生きたいものだ。2019/07/24
kotte
10
Kindle unlimitedで読みました。リスク・ホメオスタシス理論の詳細な解説があり、リスクに関する勉強をしたことがない私も理解することができました。事故を減らすための施策立案や技術開発には、人間心理を考慮に入れ、行動変化の可能性を事前に検討しなければならないという指摘は鋭いです。2017/01/22
あんさん
8
仕事関係の本。リスクとリスクテイク時のベネフィットを前にした時の行動心理と、それを踏まえた安全対策が必要。「職場での安全行動が、職業的自尊心、すなわち仕事への誇りによって支えられているとすれば、交通行動を含む日常の行動は、自尊心、すなわち自分自身への誇りによって支えられているのだろう。」「現在よりも未来の価値が高いなら、リスクをなるべく避け、将来のために我慢をすることができるだろう。」2021/04/18
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