内容説明
父親のルルヌ大公が突然自殺し、一人娘のコラは悲しみに沈んでいた。そんなコラを助けるのは、大公から後見を託された4人の男たち。大公は遺書の中で、じつはこの4人の中に正体を隠したアルセーヌ・ルパンがいる。ルパンは信頼に足る人物なので、それが誰かを見つけ出して頼りにするようにと記していた。やがて思いがけない事実が明らかになる。大公はコラの本当の父親ではなく、コラの母親がイギリスのハリントン卿との間にもうけた子だったのだ。高貴な血をひくコラは、にわかに国際的陰謀に巻き込まれ、そんなコラを救うべく、ルパンは動きだすが……永遠のヒーロー、ルパンと姿なき敵との死闘が幕を開ける! アルセーヌ・ルパン・シリーズの第1作「アルセーヌ・ルパンの逮捕〔初出版〕」も収録。従来の邦訳は、フランスで雑誌に初掲載後ルブランが加筆した単行本収録バージョンでしたが、ここでは雑誌掲載時そのままのテキストを採用。正真正銘の初登場版は、本邦単行本初収録となります。【文庫版に収録の短篇「壊れた橋」は電子版には入っておりません】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
65
遂にルパン、デビューです(笑)未完作品の為か急な場面展開に頭が「?」が飛び交うこともありましたが^^;しかし、ロマンス小説としては中々。ろくでなしの父親代わりから身を守るために少女として生きてきたジョゼファンとその妹のマリが助けてくれたルパンに恩義を報いようと頑張る姿は少年探偵団みたいで微笑ましいです^^ルパンの曽祖父がナポレオン直属の部下という設定やシャーロック・ホームズの忠告などの遊びもあって楽しかったです。ルパンシリーズ、読んでみようかな・・・・。2013/01/07
いりあ
65
モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズの最新作。ルパンの70年ぶりの新作です。推敲途中で作者が倒れてしまったため、未完成ですが、ファンにとっては正統な続編が読める事はうれしいです。ルパンシリーズの数々の名作に比べれば、微妙ですが数々の恋と冒険を経てきたルパンが、その後どんな生活をしていたのか読めるだけでも良いですね。英国の諜報機関や少年たちなど、本作のルパン周辺キャラの設定は面白いと思うので、もっと読みたかったな。付録の"ルパン逮捕される"や"アルセーヌ・ルパンとは何者か"も面白かったです。2012/09/15
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
45
少年探偵団よりもルパンが好きだった少年が、成長してこの本が出たと知ったらそりゃ買って読むでしょう。でも、さすがに作者が出版しなかっただけ会って中途半端なのは事実。前半の伏線が生かされてなさ過ぎです。でも、ルパン好きな人は読むしかないでしょう。最期に作者が望んだルパンの姿の一端を見ることが出来て満足です。2012/10/21
キジネコ
43
アルセーヌ・ルパンの曽祖父が、ナポレオン1世から贈られたジャンヌダルクによる英王国治世の書を巡り、それを我がものとせんと暗躍する英国情報部との対決にルパンの恋が絡むという筋立て・・ なのですが草稿、デッサンの印象、未だ推敲の熟度は半ば、に見えます。旺盛なサービス精神と表裏なす書き込んで貰いたいテーマが複雑に絡んで残ります。未完の侭に逝った作家の思いは如何ばかりか?とアンバランスに差し出す読者の空想が跳躍すれば「遺した素描の彩色を、君ならどう完成させたいかな」と表紙のルパンの影の声が、聞こえる気が致します。2015/07/11
Koning
43
遺作発掘ということで、みつからなかったりしたのをようやく読む。考えたら堀口大学訳との乖離と推敲不足の部分の見極めは微妙な感じ。正直ご都合主義ですねって感じだけれど、この時代の冒険小説toして考えると納得もできるしやはり楽しい話.というか、ハヤカワミステリとか正しくペーパーバックなのが嬉しかったりもする。 ご先祖さまの話はなんとなく、ジェラールとの競演的な物がみたくなったりして(笑)。2013/04/30