内容説明
名句のどこがスゴいのか。高浜虚子から金子兜太まで10名の著名俳人の名句を、巧みな筆致で読み解く。よく知られた名句、隠れた秀句が、著者の見事な鑑賞で凛と立ち上がる。「俳句はスゴい」と納得できる一冊。
目次
高浜虚子
種田山頭火
尾崎放哉
久保田万太郎
西東三鬼
加藤楸邨
石田波郷
森澄雄
金子兜太
飯田龍太
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
58
この著者の新書で解説が実に丁寧だったので借りてみる。俳句雑誌に連載されていた記事を集めたものらしい。10人の俳人の代表作の鑑賞と解説。自分は俳句は初心者で、尾崎放哉と種田山頭火と西東三鬼ぐらいしか知らなかった。各俳人の時代や背景の説明があり、それらから作品を切り離すことは難しいと実感する。適当に、おそるべき君等の乳房夏来る 枯蓮のうごく時きてみなうごく 三鬼 墓のうらに廻る 放哉 外套の襟を立てて世に容れられず 火の奥に牡丹崩るるさまを見つ 加藤楸邨 一月の川一月の谷の中 飯田龍太 良書2018/04/02
Asako Nakamura
6
私は俳句にまったくの素人ですが、あくまで写生として読んでいたことに気づいて愕然。俳句の楽しみって自由で攻撃的なところもあるのだなと思いました。春の庭に青鮫が押し寄せるなんて。咳をしただけの孤独。こう読まねば、でなく、楽しんで読んで、もっと自由に感じてもいいのかな。2018/04/16
qwer0987
4
10人の俳人について触れられているが、著者がその俳人が好きだというのは非常によく伝わって来る。全体的に内容が散漫ではあるが、俳句の読みの深さは勉強になった2017/05/21
garyou
3
どの句も頭に入ってくる感じの解説で、名句集は苦手だと思っていたけれど認識を改めた。著者の父親も俳句に親しんでいたのかなと思わせる内容があって、波郷のある句は予備知識があればわかる、そしてその予備知識はなにも俳人の生い立ちだとか性格だとかではない、というのがおもしろかった。続篇もあるようだし、この本もまた読み返してみたい。2024/02/03
オールド・ボリシェビク
3
再読。2017年に通読している。こちらは高浜虚子から金子兜太まで、メーンストリームとも言える俳人10人の句を鑑賞する。これだけの名人たちを正面から評するのは、現代においてはかなり困難なことなのだが、臆していない小林恭二に共感する。特に巻末の飯田龍太を論じる一章には、無限の優しさを感じるのである。そして、最晩年に筆を断ってしまった俳人を惜しむ心情が身に染みる。2022/06/05