内容説明
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和歌を核として発展した仮名文を「話す側が構成を整えていない文、読み手が先を見通せない文」と定義。こうした「句節をつぎつぎと継ぎ足して構成される形」の構文を連接構文と名づけ、和文の基本原理に据える画期的な提言。
目次
導論 仮名文の構文
序章 はるはあけほの-和歌と和文と口頭言語との接点
第1章 うめにうくひす-語音排列則
第2章 そてひちて-動詞活用のパラダイム
第3章 ひくらし-多重表現
第4章 はるはきにけり-フォーカスの移動
第5章 ながめせしまに-多重修飾
第6章 仮名文の構文原理
第7章 春はあけぼの+いとをかし-仮名文を声に出して読む
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
9
図書館にて。厳しいタイトルからは察せられないが、古今集の和歌の幾つか文献学の方法論を用いて読み解く試みである。小松氏の新旧著作を集めて読み進め、やっと氏が何に対して批判を行ったのががつかめてきた。私は過去に漱石や宮沢賢治の全集に本文批評の見地から批判する言説を読んだことがあるが、それと同様に古今集の定本作りには大きな問題が、それも原理的なものがあるのだと分かってきた。まぁ、最も俗なことを書くと、国公立(とりわけ東大)の大学入試に古文は必須なので、古典文法問題のために古い説がスクラップできないのだ2024/11/03
miyuki
1
仮名文の構文原理が連接構文であることを明らかにしようと試みた本。筆者は、旧来の文法が連接構文とは非なる拘束構文として存在することを指摘し、その立場からの絶対的な文法尊重主義は古典の読みにおいては無益どころか有害であるとして、発想の転換を迫っている。つまり旧来の文法は句切れが絶対的であり、ことばの係り方は一方向でしかあり得ない。それは、文が文として主格と述格をひとつがいで持つからである。しかしそれでは古典は読めない。古典文はリズムがあり、呼吸がある。口頭言語的構造を孕むのである。それを書記テクストから導く。2018/01/09