内容説明
なぜ検察の不祥事はかくも続いているのか。その背後には、属人的な問題では片付かない「構造問題」が隠れている。司法取引などの手段を擁さないまま、自白を引き出すための「取り調べ」に全力を傾けるという捜査モデルが時代に合わなくなってきたのだ。特捜検事の犯罪が生まれる理由、メディアとの関係、「国策捜査」が行われる事情まで、検察取材経験三十年以上の第一人者が徹底解説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロッキーのパパ
13
大阪地検の証拠隠滅事件など注目を浴びた検察関係の事件を切り口に、いまの検察の抱える問題を浮き上がらせている。検察とマスコミの関係など記者らしい視点もうまく生かされている。後半に歴史と組織の基礎知識が記述されているので、検察についての概論知りたければ、第7章から読み始めるといいと思う。2012/12/21
calaf
10
検察って...良く分からん (^_^;;; 捜査方針や情報管理等の点で、組織の考え方と国民の考え方(期待)とがどんどんずれてきているのは確かなのでしょう。どちらかが歩み寄る方向に動くのか、あるいはさらに分離が進み、ついに臨界点を越えて破綻してしまうのか...著者は、現在の状況が破綻と考えている節があるけど、本当にそうかなぁ...2012/10/08
Happy Like a Honeybee
1
新聞記者として検察を追求してきた第一人者による書物。 どちらかと言えば検察側の視点で書かれている。 個人的にはリクルート事件による江副氏の書物が良い。 検察権力を用いることでライブドアなどの経済界や鈴木宗男事件の外交問題が頓挫する事は国益の観点から相応しくない。2014/03/30
jack
1
「検察に求められるのは、法の下に於ける犯罪者の訴追だ。ただし、人治による市井の人々の常識は、人として自覚しなければ。悪意の裁量はゆるされない。」☆3.82013/02/17
okadaisuk8
1
わかりやすくまとまっている。新潮新書ってキャッチーだけど、やや軽いものが多い印象だったが、これはやや重厚。でも、検察と取材する記者の関係について書いた章だけは、「出入り禁止処分」とか女性記者に鼻の下を伸ばす幹部の話とか生々しい話連発で、筆致も柔らかめになる笑。 しかしこれだけ当局を回った人もその捜査手法や存在のあり方に疑問を投げかけているんだから、やっぱり検察、特に特捜部は曲がり角なのかな……。2012/11/26