内容説明
きっかけは近所の煙草屋の少女からのSOS。ちっぽけなビリヤード場を経営する二十歳の兄(アン)ちゃんが出向いてみると死体が一つ。その死体を巡って事態は命を懸けた戦いへと発展してゆく。放火、リフォーム詐欺、死体遺棄、誘拐!? 恐るべき小僧が過剰な人助けに奔走する痛快・疾走エンターテインメント登場! (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
131
書店のポップ広告や本の帯に"疾走感"という惹句をよく見かけますが、今まであまりピンときていませんでした。ところが、この本を読んで"疾走感"のある小説とはどんなものか、はっきりとわかりました。ドミノ倒しのように止まることなく目まぐるしく変わる展開の速さに、まるで読んでいる自分も主人公と一緒に疾駆している感じ。でも、青春小説のような爽快な汗はありません。主人公、けっこう痛めつけられるのです。そこは、木内流ハードボイルドです。それでも、悪者を手玉に取る主人公の言動は痛快です。最高に面白いエンタメ小説です。2020/09/22
ユザキ部長
121
案ずるより産むが易し。そして、したたか。まぁ何とかなるっしょってお気楽に構えてるんだけど、根がメチャメチャいい奴。だからカッコいい。無駄がなくスピードが早い物語。さすが!2017/10/04
chiru
119
成り行きで『死体処理』を請け負う主人公が、死体を巡って危機一髪のデッドラインを何度も飛びこえるアクロバティックストーリー。 ヤクザに臆さず、折衝術や機略を操る頭の切れる主人公だけど、銃口をこめかみにあてられたヒロインに交際を申し込むなど、肩の力の抜けたところがすごくいい。 タイトルの『キッド』は主人公を指すけど、災難や窮地ですら楽しむ様子からきてるのかも。 心がふんわり温められるラストも好き。 フルスロットルのジェットコースターにのってる気分で楽しめました! ★42019/01/13
5 よういち
110
文句なしに楽しめる第一級のエンタメ小説。もっと早く読んでおけばと悔やまれる。◆ビリヤード場を営む石川麒一の元に近所のタバコ屋の孫娘からのSOS。ひとつの死体を巡って命を懸けた戦いと逃避行が始まる。どうしようもないピンチを麒一の機転で切り抜けながらも、彼を追うもの達との立場は目まぐるしく入れ替わる。スピード感溢れる展開も手伝って、終始ハラハラドキドキを味わえた。◆一時、生活をした関東の地名がたくさん出てきて、親近感も湧いた。◆木内一裕の小説は初読みだが、彼の作品「ビーバップハイスクール」は青春のバイブルだ。2024/01/13
Shinji Hyodo
100
面白い‼︎主人公は『石川 麒一(きいち)』。若干二十歳の麒一がとある殺人事件に出くわした事から始まる悪党グループとの丁々発止。誤って男を殺めてしまった祖母と中学生の孫娘の二人の犯行を無きものにするためには死体を隠してしまうのが一番と考えた麒一の前に、どうあってもその死体が必要なヤクザが現れる。連中にしたたかに痛めつけられる麒一だが、天才的な機転でピンチを脱出するどころかその遺体が金になることを掴み、ヤクザからなんと遺体の身代金を奪おうと考えた麒一。死体は隠しおおせるのか、身代金は奪取出来るのか?面白い‼︎2017/04/25