内容説明
2060年、オックスフォード大学の史学生三人は、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた。メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、ポリーはデパートの売り子としてロンドン大空襲で灯火管制(ブラックアウト)のもとにある市民生活を体験し、マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退における民間人の英雄を探そうとしていた。ところが、現地に到着した三人はそれぞれ思いもよらぬ事態にまきこまれてしまう……続篇『オール・クリア』とともにヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞の三賞を受賞した、人気作家ウィリスの大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
91
残念ながら今巻は三人の学生達にあまり、共感が湧きませんでした。ロンドン大空襲時という危険でそれでも人々がそれでも懸命に生きた時代に興味半分で実地調査に来たのに、何かあれば、未来に帰ればいいと考えると彼等は過去の人々への敬意もないし、甘ったれすぎます。しかし、悪戯っ子なホビドン姉弟だけど、将来は人生の酸いも甘いも噛み締めた、お茶目で素敵な大人になるとおもうけどな・・・。そして内臓破裂寸前の大怪我を負ったのにポリーの約束を守れなかった事を気にして病院を抜け出して謝るマージェリーが良い人すぎて逆に居た堪れない。2017/03/18
紅はこべ
74
第二次世界大戦下の英国ロンドンを舞台にした小説は、サラ・ウォーターズ、クリストファー・プリースト、ケイト・モートンその他様々読んだが、本作は格別に明るい色調な気がする。勿論タイムトラベラーの視点ということが最大の理由だろうけど、黒死病の危機にさらされた『ドゥームズデイ・ブック』と比べても明るい。基本的に1940年が舞台なんだが、44年、45年の章が入っているのは何故だ。どう収束が合うのか、ワクワク。単行本の方が良かったな。この厚さで、この判型は読みにくいよ。2015/08/14
どんぐり
62
『ドゥームズデイ・ブック』『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』に続く、時間旅行者シリーズ。歴史研究を学ぶ史学生のポリー、メロピー、マイクルの三人が降り立ったのは、第二次大戦下のイギリス。2060年の世界から時間遡行でやって来たネットが閉じしまい、それぞれロンドンに集結する。彼らは果たして元の世界に戻ることができるのか、『オール・クリア』に続く。時間旅行者は歴史を変えられない観察者だが、未来の人間が過去の世界にいること自体、蝶一匹のはばたきが地球の反対側で竜巻を起こすような存在だ2014/09/07
ちょろんこ*勉強のため休止中
42
SFが苦手なのとあまりの分厚さに読むのを躊躇していましたが、ドキドキの展開に最後まで飽きませんでした。3人の主人公が戦時下のイギリスにタイムトラベルするのですが、当時の風俗や恐ろしい中でも強く生きていく人々の様子が丁寧に描かれており引き込まれます。登場人物達が特に個性的で面白いというよりも、先が読めない展開や主人公達すれ違いドタバタ感がすごくいいです。SF感はあまりないです。これから無事に2060年に帰れるのだろうか...?続きを読むのが待ち遠しい。そして悪ガキ姉弟が続編でも出てくるのか気になります!2013/08/15
昼夜
34
二段で750頁とあと2冊に最初は圧倒されましたが読んでるうちに止まらなくなって手が痛いです。今までは主役が1人だったのに今回は3人に増えた上に舞台は第2次世界大戦、のんびりまったりな「犬は勘定にいれません」を読んですぐなので余計にイベント目白押しでいっぱいいっぱいになりました(笑)が一番想像しやすいので一番面白く感じます。あと2冊あることは知ってましたがこんなところで終わられると続きが凄い気になって気になって仕方ないです。2015/02/18