内容説明
期限は初冬、楠の実が熟すまで。21歳の利津は、御徒目付を務める伯父に命じられ、潜入捜査のため京の下級公家・高屋家に嫁いだ。安永年間、禁裏での出費増大に頭を悩ませた幕府は、公家たちの不正を疑うが、探索のため送り込んだ者たちは次々に謎の死を遂げていた。最後の切り札として単身乗り込んだ女隠密・利津は、高屋家に夫の弟・右近が幽閉されているのを知る。証拠はどこに…? 著者の新境地を拓く、長編時代ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
172
読みたい本に登録していてやっと時期到来。だがしかし、やっぱり既読の作品だった。あぁ、あるあるだけど自分が情けない。利津は諸田さんの描く女性だなぁと、するりと作品の中に入って行ける。隠密御用で嫁いだはずが先妻の残した幼子を我が子のように慈しみ、夫にも情が湧く利津の気持ちが良かった。【再読本】2021/06/28
はつばあば
45
京の公家達は武士の世になって権力が全部江戸に行ってしまい・・天皇も侘しい生活をされていたと。ほんと貧しい生活をされていたようですが、どこにもお金お金と守銭奴がおります。そんな公家の二重帳簿を見つけるよう21の利津に白羽の矢が。今迄何人もの隠密が殺されてしまったので・・利津は子供のいる康昆の元に後妻として。やっぱりね美男美女の組み合わせ、子供も懐いていたらそりゃ愛に発展しますわなぁ。しかし公家側の暗殺者ほんま京都人やわ~。?私ですか何代も前から京都市民ですが・・市民の枠に入れてもらえませんねん(;´∀`)。2022/05/25
るぴん
28
母のオススメ本。面白かった♫御徒目付の伯父の命を受け、隠密御用として公家に嫁いだ利津。楠の実が熟すまでに公家達の不正の証拠を掴まねばならない。しかし夫となった康昆に惹かれていき、継子の千代丸は愛らしい。役目を果たせば婚家は破滅、失敗すれば伯父は切腹。板挟みの利津はどうするのか。常に気を張らなければならない利津の緊張感が伝わってきて、ハラハラし通しだった。幽閉されている義弟の謎、変死する奉公人達…王道な感じもするけど、私は好きだな~(^^)『おすすめ文庫王国』時代小説部門3位にランクインしていたのも納得☆2013/05/24
のびすけ
27
幕命を受けて隠密御用として公家へと嫁いだ利津。公家たちの不正の証しを見つけるタイムリミットは「楠の実が熟すまで」。不正の謎を探る一方で、夫と継子への愛情が大きくなっていき…。利津の揺れ動く心と隠密ミステリー。なかなか面白かった。2024/06/26
こおり
14
武家と公家の金をめぐる攻防。武家は、娘を公家の家へ嫁がせ、内部から不正を掴むという策に出た。密命を受け、たった一人で乗り込む娘 利津。「不正を暴いてやる」という正義感と、次第に夫や息子へと傾いていく女としての想い。ミステリーと恋心の両方が楽しめる趣向だ。婚家の情報を「楠の実」に例えた表現で実家へ知らせる手紙に、利津の聡明さが表されていてなかなか良かった2015/07/02
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- 和書
- キレイはこれでつくれます