内容説明
元ニュースキャスターの百合子は、東京から地方の北九州に戻り、大学教員として新たな道を歩み始めていた。父の修次郎は75歳を前に名誉教授、娘の里奈は医学部入学と順風満帆の人生に見えたのだが、ある日を境に修次郎が奇妙な行動を取るようになり…。一つの家族の物語を描くことで、認知症介護の現状をリアルに浮かび上がらせる。現役医師である著者による書き下ろし小説。
感想・レビュー
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みん
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老齢で軽い認知症の父親を持つ、キャリアウーマンのお話し。私は、子供たちに迷惑はかけないようにしたいと考えているのだが、認知症になってしまうと、その判断能力も消えてしまうのだろうかと不安になる。介護うつ病にも触れられており、認知症患者の周囲全体に問題は広がることになる。徘徊や暴力などが始まったら「施設にでも入れてくれ」と、今だから言えるセリフである。都内と地方都市、日本と海外、などの違いも盛り込まれていて良かった。お話はハッピーエンドで終わっているので、少しほっとしました。2024/01/04