泡をたたき割る人魚は

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泡をたたき割る人魚は

  • 著者名:片瀬チヲル【著】
  • 価格 ¥1,353(本体¥1,230)
  • 特価 ¥676(本体¥615)
  • 講談社(2015/03発売)
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  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062177719

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内容説明

その島は、右半分は観光や漁業で栄え、左半分は沼地が広がり寂れていた。薫は左半分に住み、栄養飲料の配達をしている。絵描きの瀬戸や魚屋の村井と仲がよい。ある日、願いを叶えてくれるという老女のもとへ行き、「魚になりたい」と告げる。老女は薫の脚と、配達に使っていた原チャリと引き換えに、薫を人魚にしてくれた。うれしくて泳ぎまわる薫。海にもぐって島の右半分に顔を出した薫に、新しい出逢いが待っていた。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優愛

50
恋人を作った瞬間に泡になって消えてしまう、それを分かった上で人魚になった薫。水の中から見る地上は驚くほど美しい。月見草や水仙が香る空気、星の欠片のように光る海面、海にやってくる男の子。「広い海に一人じゃ寂しいだろ」曖昧なままでいたかった。夢見心地で波に揺られながら。だけどきっと誰よりも運命の王子様を探してたのは彼女なんだろう。終わりには声まで失って「私だよ」口を開けば音色のない泡が生まれる。けれどそれを自分でたたき割ることしかできない。定まらない境界に孤独を見出だして彼女は一人溺れてく、悲恋という淵に。2014/12/02

nyanco

36
「人魚」ということでもう少しファンタジー寄りか、人魚伝説の伝奇モノかと思っていたら少し違いました。 21歳現役女子大生らしい、恋することが出来ない人魚というテーマの選び方も面白かった。 ただ、とても美しい比喩表現の部分と、彼女のとる行動との間に感じるギャップが少し大きかったのが残念。 若い作家さん、成長を期待いたします。2012/08/14

Y

34
最初は薫の考えることがいまいちよくわからなかったけど、読み進めていく内に心情を理解できないのは自分が勝手に人の関係を境目を設けることでしかとらえることができなくなっているからだと知った。言葉選びも幻想的で、水中から世界を眺めているような不思議な心地がした。「小学生の性交」という表現とその内容が面白かった。薫が辿ることになった結末も含めて美しい話だと思ったが、ほんの少しの寂しさがいつまでも心に残った。2016/04/20

うめ

27
題名と表紙に惹かれて。人と魚の合間は曖昧な泡。島たるワニに引き裂かれ、人たる半身は泡となって海と空に溶け、魚は水に閉じ込められる。弾けた泡は誰の元に末期の言葉を、薫りを届けるのか。淫らな隙間を封じた魚は、永遠に空の金魚鉢に閉じ込められるのか。言葉の意味を紐解くのが楽しいけれども、ちょっと自家中毒気味かも。2017/03/21

nina

22
1990年生まれの著者の処女作。猫のように欲望に忠実で日常の表層を揺蕩うヒロインの恋は傲慢で情念の影はなく、ただ求められることを欲し、気まぐれに己を与えるが所有されることを拒む。彼女の唯一の願望は感情を持つ魚になること。ある日ボーイフレンドからもらった原付と手書きの絵柄が美しい蠟燭と引き換えに魚の下半身を得る。ヒロインが人魚となり水の中を泳ぎまわる場面や官能的な刺激を得て鱗が煌めく場面の描写は美しく幻想的で眼を奪われるようだ。人間と魚、陸と水、少女と女。泡のように儚く消えてゆくそれらの間(あわい)の物語。2013/12/18

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