内容説明
“六文足”の竹井岳彦は水戸で運動具商を営む美しい女性のもとに婿入りする。しかし岩壁への執念は断ちがたく、ひたすらヨーロッパへの憧れはたかまる。最初、アイガー北壁に挑むが、持ち前の慎重な判断力により途中断念する。再度、血みどろの足をひきずり、日本人としてはじめてマッターホルン北壁を征服する。実在の人物を素材にして、あらゆる困難にうちかつ男を描いた長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
82
下巻は、岳彦の結婚の話で始まる。スポンサーの得てアイガー北壁に挑むが悪天候で挑戦を阻まれ、翌年再挑戦するが天候に恵まれず、急遽マッターホルン北壁の登攀に挑み、日本人として初めて成功する。登攀で、彼の足は激しく出血し、山との闘いというよりは、自分の出血との戦いとなり、まさに血で贖った成功と言える。主人公の言葉「自分が山と縁が切れなかったのはこの足ない足があるからなんだ」がずしりと心に残る。新田次郎の作品は、まさに「山を舞台にした人間の小説(ドラマ)」と言っていい。登山シーンの描写は圧巻の迫力だ。面白かった。2026/01/07
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
64
竹井岳彦は水戸で運動具商を営む女性と結婚。しかし岩壁への執念は断ちがたく、ひたすらヨーロッパへの憧れはたかまる。最初、アイガー北壁に挑むが、途中断念。最後はついに日本人としてはじめてマッターホルン北壁を征服する。全くのフィクションではなく実在の人物を素材にしたと知って驚き。竹井のストイックさに比べ、作中登場する春雄の存在には本当にイライラさせられた。(ここまでやらなくても良いのに、せっかくのストーリーがかえってマイナスになったと感じました)★★★+
ichi
26
【図書館本】実在した両足指切断のクライマー芳野満彦氏をモデルとした話で、日本人初のマッターホルン北壁登頂までを描いたもの。最後の登頂直前でのパートナー吉田広の心遣いに心が打たれました。新田次郎さんの山岳小説はどれも時間を忘れてしまうほど素晴らしいです。2016/12/03
山口透析鉄
24
凍傷で手足の指、失っていない登山家っていないのではないですかね。新田次郎氏も再読したいのですが、果たせていませんね。1985/08/18
まーみーよー
23
下巻は、岳彦の結婚生活と山が遠くなった岳彦の葛藤が印象的な前半と、海外に目標を定めアイガー北壁を目指す後半に分けられる。どちらも不器用ながら真っ直ぐな岳彦の人柄がよく描かれている。後半のアイガー北壁、マッターホルン北壁登坂場面は手に汗握って一気読み。足から出血しながらも登り続けなければ死しかない。極限状況の中で冷静なパートナーと岳彦の信頼関係があるからこその結果が日本人初のマッターホルン北壁攻略成功に繋がったのだろう。アイガー北壁に固執せず計画変更できる臨機応変さも一流のクライマーの資質なのかな。2021/08/10
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