内容説明
夫に突然離婚を切り出された妻の悲嘆が消えた瞬間。第2子を身ごもった女が目にした、産婦人科での光景。浮気相手の妊娠を妻に告げた夜。人生の豊饒の時、「結婚後」の男女の点景を通して、あたりまえの生活をいとなむ、そのすぐそばに潜んでいる奇異なものたちを見逃さずに描き出した、傑作短編小説集。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nemuro
56
2013年1月、稚内行き「急行サロベツ」の車中で読了の『るり姉(ねえ)』が面白くて、その後は結構買っている椰月美智子。にも拘らず『さしすせその女たち』(昨年11月読了)を加えてもなお2冊の読了に留まっていることが発覚し、吃驚。そんな中、“しりとり読書”109冊目の網に本書が掛かり、これ幸いと選定した次第。2015年4月、房付きトマトなら買ったことはあるが枝付き干し葡萄は知らないなぁと「文教堂書店函館昭和店」にて購入。「ただわたしが書きたくて、書きとめておいた短編たち」から表題作を含む10編。うむっ面白い。2024/02/25
さぜん
40
既婚女性の視点で描かれた10編の短編。日常生活でちょっと垣間見える夫婦間の不穏さ。共感できる部分もあれば理解できない所も。椰月さんの何気ない風景をさらさらと表現する文章が素晴らしい。あっさりだけどコクのある小説、美味しく頂きました。2017/06/08
あじ
36
目を惹く対象者を観察者がピンで固定し、標本にしているような短編図録。場違い、不詳、独善的な、個人。そんな対象者を排除する大人たちの中にあって、己の不可侵さを死守しようとする幼女の切な願い─「七夕の夜」が好き。★3/52018/10/06
おれんじぺこ♪(16年生)
17
いろんな形の夫婦の日常を描いた短編集。タイトルのように、ワイン片手に夜にひっそり読むのがいいのかもしれない。何も事件は起こらない(笑)淡々とした日常、個人的にはさほど心にこない短編集でもあった(ごめんなさい)2018/10/02
柊子
14
よく考えたら、離婚しても何も困らないが、夫からそれを切り出されるのは晴天の霹靂だし、やたら癪にさわる・・・という女心が愉快だ(第一話)。確かに、その気持ちはすごく判る。ほかの作品は可もなく不可もなく。2014/02/04