いつか、この世界で起こっていたこと

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いつか、この世界で起こっていたこと

  • 著者名:黒川創
  • 価格 ¥1,496(本体¥1,360)
  • 新潮社(2012/10発売)
  • 真夏も楽しく!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/11)
  • ポイント 390pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784104444052

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内容説明

犬を連れ、白樺とモミの林にきのこ狩りにでかけていたチェーホフ。一九七七年のエルヴィスの死と、アメリカ核施設見学ツアー。ユーゴから日本へと逃れてきた女性シンガー。関東大震災の津波で生死を分けた鎌倉の夫婦。震災後に生きるわたしたちを小さな光で導く、いつか、どこかで、起こっていたこと。深い思索にみちた短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

56
様々な差異も、本質的な1つの哲学に収束。背負う運命へのやり場の無い憤りが滲む。原子力。創造も破壊も、同じ人類の所業。生まれ故郷に戻り、目にする変化。『チョーホフの学校』の「新しい飢餓」は意味深。表層の物理に対する深層の心理。故のアンナ・アフマートヴァの微笑・・・。作品のもう1つの共通項は”家族”。離散に込められた愛情と悲しみも、もれなく人類の創出した諸刃の刃への警鐘。警鐘故に、深みを求める意味合いより、風化を防ぐ意味合いも込めた問いかけという気がする読後感。2017/02/10

ちゃんみー

26
たんたんと語られる、今と昔。そして3.11。2013/06/23

草食系

19
原発を所有する国や何かしら核の脅威にさらされた国(日本、ロシア、アメリカなど)、その繋がりを淡々と描く。切り口は、核で繋がる私達。生み出し、容認した私達。そこに正誤の主張はなく、ただ生活を淡々と書く事で、余計こたえる。茸料理はスラブの母の味。茸狩りの楽しみ、大鍋で煮込んでスープにソースに。子供達には食べさせてはいけない、その母の味だった物の存在を気づかせない、継がせない。食文化の喪失、そうゆう事なんだと身につまされる。日本にいる私も日常の中で311の前と後で物事を思考する、意識の線が引かれた。2013/04/30

そうたそ

18
★★★☆☆ ものすごく閑静な感じのする作品集。淡々とした語り口なのであるが、扱われているテーマは惨憺としたイメージを想起させるものである。原発事故、3・11という今もまだ完全なる復興の見えない災害に対して、遠く離れた異国の地とリンクさせながら、静かに描き語っていく。著者が博識であることが読んでいて伝わってきた。夏目漱石の「韓満所感」を発見してしまうくらいだからねえ。震災をテーマとした作品には押しつけがましいものが多い中、この作品はそれがない。静かな筆致の中に心痛む凄惨たる事実と明日への希望が同居している。2013/07/14

みねたか@

15
東日本大震災でバラバラに被災した家族を描いた「波」漂流し閉じ込められた中互いを思いやる何気ない会話が描かれる。他では廃墟となったハンフォード核施設、チェルノブイリ、ボスニア空爆での劣化ウラン弾、関東大震災が直接的ではない形で取り上げられる。ある時何かが起こり、消えることなくいつまでまあり続ける。問われるのは、そのことへの想像力か。東日本大震災そして福島第二原発。誰もが世界観、人生観を揺すぶられる状況の中、作家としてどのように時代に向き合うのか。そんな問いに真正面から取り組んだ真摯な姿勢に敬服する。2017/08/11

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