内容説明
廃工場、廃線、廃校……etc.人けなくうち捨てられた廃墟には、何かの気配が残っている。いつまでも消えることなく、時間を経るほどにむしろそれは強く漂う。人生に疲れたら、うら寂しい場所に行ってみよう。その何かが足下を照らし、背中を押してくれる。閉じこもりOL、家出少年、行きづまった事業主──彼ら彼女らの今を劇的に変化させる6つの物語。心に響く短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
111
打ち捨てられた場所には目にみえない『何か』が漂っているのかも知れない。疲れていたり、悲しみに沈んでいる時っていろんなものが見えなくなってしまうけど、普段とは別のセンサーが働く事があるのかも知れない。場所と心が出逢った時、小さな奇跡が起こるのかもね。『廃工場』『廃線跡』『廃校』『廃園』『廃村』『廃道』といずれも打ち捨てられた場所を舞台にした6篇のハートフルな物語。家出少年、OL、個人事業主、主婦など悩みや苦しみや悲しさを抱えた人々が素直になれる場所として描かれる。割と重たい題材をライトに描いているのが新鮮。2016/02/06
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
73
何かに導かれるようにしてやってきたその場所で、彼らは何を得たのか・・。「廃工場のティンカー・ベル、廃線跡と眠る猫、廃校ラビリンス、廃園に薔薇の花咲く、廃村の放課後、廃道同窓会」全6話。どの話にも共通していえるのは、自分の気持ちを相手にきちんと伝えたか、ということ。話し合う前に最初から無理だと決めつけて、自分の気持ちすら伝えていないことって意外と多いなと思いました。初読みの作家さんでしたがサラリと読めて面白かったです。他の著書も読んでみたいです。★★★★2012/10/18
ゆみねこ
71
廃工場・廃線・廃校・廃園(遊園地)・廃村・廃道(登山道)、6つの寂れたものにまつわる人とその思い。どれもビターなものを描いているけれど、読み心地は悪くありません。廃線跡と猫のお話が良かったです。2017/01/18
紫綺
71
泥棒猫ヒナコの事件簿の続編が図書館の蔵書に無いので、これを借りてみた。「廃」の付く場所をテーマに書かれた短編集。重たい話をうまくミステリを絡めながら描いており、読みやすかった。最後に掲載の「廃道同窓会」は身につまされて、なかなか良かった。家族でも、話さないことには当人の気持ちって解らないもんだな。2012/08/04
依空
55
廃工場、廃線、廃校、廃園、廃村、廃道。今はもう捨てられて人がいなくなった場所を舞台にした、6編の短編。登場人物はみんな、悩みを抱えていたり、人生に疲れている人ばかり。中には深刻な問題を抱えている人もいて、全体的に暗く寂しい雰囲気の作品でした。けれど、との話もぐっとくるところがあり、ラストには光の見える結末になっていて、少し温かい気持ちになれました。ただし、どの作品もこの先が読みたいんだ!といういいところで終わっているので、もどかしくもあります。「廃工場のティンカー・ベル」と「廃線跡と眠る猫」が好きでした。2016/05/20
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