内容説明
「苛められ、暴力をふるわれ、なぜ僕はそれに従うことしかできないのだろう」 善悪の根源を問う、著者初の長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
296
『僕』とコジマの『手紙』のやり取りに見る二人の心の交わりと、際限なく続いていく”いじめ”の陰惨さが並行して描かれていくこの作品。そこには、川上未映子さんの美しい筆の力が故に、”いじめ”の陰惨さが際立つ物語が描かれていました。どこまでも繰り返される”いじめ”の描写に目を背けたくもなるこの作品。それと対比するかのようにどこまでも美しくまばゆい結末の描写に驚きを隠せないこの作品。”いじめ”を純文学で見せていく、極めて重量感のある物語。そんな物語に描かれた光景が、読後いつまでも消えずに尾を引く印象深い作品でした。2025/08/08
Nobu A
257
川上未映子著書初読。09年刊行。手に取ったのは本書がブッカー国際賞候補に挙がったと耳朶に触れたから。余韻の残る読後感。名前と評判は仄聞していたが、少壮気鋭作家の存在に嘆息。壮絶、あの旭川で凍死した虐めを思い出した。何故ここまで緻密に描いたのか、綴れたのか、本人が経験者なのか思わずググってみたが、経歴からは何も見えてこず。最後の主人公と母親の温かい交流がカタルシス。他方、秀才で運動神経抜群の二ノ宮が苛めの首謀者だったりコジマの最後の行動はやや非現実的だと感じるが、それらを補うだけの流麗な筆致と物語構成。2025/03/20
遥かなる想い
231
クラスで陰湿なイジメにあう僕と コジマの心の交流の物語である。 ひどく透明な雰囲気が著者独特の世界に 読者を誘う。 僕を虐める 百瀬、二ノ宮の心の壊れ方が 怖い…くじら公園での 二ノ宮たちの イジメに対する コジマの壮絶な抵抗には 圧倒される。コジマが見たのは 何だったのだろうか?ひどく心に痛い物語だった。2018/11/21
テンちゃん
204
『ヘブン?❢』⇨『天国?❢』⇨『救われる場所は?❢』⇨『苛められ、暴力を振るわれ、なぜ、僕は、それに従うことしかできないのだろう』⇨『14歳!』o(>_<)o『同級生からの苛め!』⇨『相手の痛みを知る為の試練?❢』;(∩´﹏`∩);『自分の身は自分で守らなければならないの?❢』⇨『善悪の根源を問う❢』⇨『苛めは永遠になくならないのか?❢』『正解という解決策は未だに出てこない❢』⇨『大人社会』=『子供社会』⇨『子どもの良き鏡となりたい❢』考えさせられる作品!メッセージ力☆(๑•̀ㅂ•́)و✧4.82016/03/14
ALATA
166
「私たちは仲間です」小さく折りたためられた手紙に僕とコジマの暗い、先の見えない闇が広がっている。前半はクラスから疎外される「僕」の行き場のない世界が綴られ読むのが辛かった。ヘヴンはどこにあるのか、何んなのか?周りの人がしっかり見てくれるそんな世界が出来れば…★3※月に一度、深く考えさせられる本がある。苛めはなくならない、母さんと歩く並木道の果てに白く光る向こう側がみえればいいな。2023/10/29
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