内容説明
カーラの資金を受け取る香港の大実業家ドレイク・コウ。彼の弟ネルソンは中国情報機関の中枢に送り込まれたカーラの二重スパイだった。そして今、ウェスタビーの調査でドレイクが重大な計画を企てていることが判明した。スマイリーは、それを利用して秘密作戦を開始する。が、ウェスタビーが指揮下を離れ、独自に行動していたとは知るよしもなかった。非情なスパイの世界をリアルに描き、著者の最高傑作と絶賛された力作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
179
重い…。華やかなスポットライトを浴びることのないスパイたちの世界。表紙の曇天につつまれた香港はまさに内容にぴったり。最も冷徹に作戦を実行しなければならなかった男。彼を最後に動かしたのは愛だった。リジーは美しくはあっても賢そうには見えない。魅力はその奔放さにあったのかも。作戦のために自分を殺し続けてきた男にとって、それは希望の灯だったのかも。作戦の影で消えていった男達。それでも世界はまるで変わらなかったかのように…。香港戦線に異常はなかった。2021/08/26
まふ
109
上巻のダラダラに比べてようやく動きが出てきたというところ。香港の中国系大立者が中国と通じ麻薬を横流しする、その英国人情婦に惚れた新聞記者工作員のウエスタビ―が情に駆られて単独破滅行に及ぶ、組織はサーカスの手で壊滅するがウエスタビ―も死ぬ、ということをジワリジワリと書いて面倒くさい書き方だった。もっとも、このような書き方に「うま味」があるとする見方が多いかもしれない。だから人気があるのだろう。とすれば、ワタシ的には元来好みに合わない作家なのだと思う。2022/07/04
k5
68
じっくり時間をかけて堪能しました。スパイという報われることのない役割は、スマイリーが象徴していますが、それよりは陽性のおもむきがあるジェリーが、報われない恋にのめり込んでいく姿が、過剰でなく描かれていて、本当にカッコいいです。「これからどうするの」「笑って祈るのさ」「あたしが笑うから、あなた祈って」という最後のリジーとのやりとりが最高です。2024/01/14
Kajitt22
47
1975年4月、サイゴン陥落によるベトナム戦争の終結。その前後のロンドン、香港、インドシナを舞台にした物語。ジリジリと動きのない前半を我慢強く読み進めると、後半一気に展開し香港、タイ、カンボジア、ベトナムと当時の得体の知れないインドシナの空気をも感じることができる。ファムファタルに出会い、暴走してしまう、工作員ウエスタビー君が切ない。香港の虚飾に満ちた華麗な一面と、阿片に蝕まれたダークな現実の対比が印象的だ。再読。2018/12/27
stobe1904
39
【崩壊したサーカスを立て直すスマリー】戦時下のカンボジア、ラオス、タイ、そして香港と場面によって当時の東南アジアの情勢が丹念に描きこまれ、ゆっくりと結末に向かっていく。思考の男スマイリー、行動の男ウェスタビーの際立つがキャラがストーリーに動と静のメリハリをもたらしているのが印象的。読みにくさは相変わらずだが、この小説全体をラストを描くための膨大な序章と考えると、色々な断片のつながりが意味を持つことに思い至る。カーラとの対峙がありそうな『スマイリーと仲間たち』は少し時間をおいて手に取りたい。★★★★☆2025/08/07
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