内容説明
生涯を「死と死に逝くこと」の研究に捧げたエリザベス・キューブラー・ロス。ロスが残した「蝶」の謎を追う作家に訪れた、父親のがん発覚という現実。生と死、看取りに向きあう、衝撃のノンフィクション。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
森の奥に蝶を追って
謎の人、エリザベス
雨に濡れたパピヨン
シンクロニシティの始まり
宿命
混乱
痛み
告知
転院
喪失〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンシア
13
お父様の死に至る体験と、キユープラロスの考えをクロスしながら、死とは何かを問いかける。それが正しいのかどうかは、わからないが考えることに意味がある。死者がパピヨンになって現れるのであれば、生きているものは救われるのかもしれない。私にはまだわからない。2015/11/15
湖都
3
著者の父の最期の日々と、異端の医師キューブラー・ロスを中心に描かれる、死についての本。図書館ではエッセイに分類されていたが、啓蒙書のような気もする。末期癌の家族、それも決して良い父だったとは言えない人を、どう見送るか。死をどう受け止めるか。普段こんなヘビーなことを考えないため読んでいる間も重たい気分だったが、だんだんと「なぜ人は死から目を背けるんだろう」という気になってくるから不思議だ。あとは、死者が蝶になってやってくるというのは、霊感のある母と伯母が普段から言っていたので、むしろ当たり前感。2018/03/01
Sakie
3
自身の死を受容する。身近な人の死を受容する。どちらにも人は慣れたりしないし、その取り返しのつかなさに迷い、不意に襲う悲しみにひしがれる。『死んでいく人の言葉をよく聞きなさい。死にゆく人に学びなさい。死はたった一回だけのチャンス。死にゆく人はこの世界でなにが一番大切なのか、価値あるものなのか知っている…』。死にゆきつつある祖父。様々な事実が現れつつある。私はまだまだ傲慢で、ありのままではないと感じる。自分を偽っているかぎり平安ではないという。エリザベス・キューブラー=ロスの思想は理解しがたかった。2013/10/16
くま
3
ところどころ引用されているロスの言葉がこころに残る。この本を読んで、心に響いた言葉がたくさんあり、伝えたいことがいっぱいあるけれどうまくいえない。読んでみるのが一番いいと思う。2012/11/06
choike-voike
3
田口ランディ氏とは全く面識が無いにもかかわらず、その著作を読んでいる時に、いつも友人の長い日記を読んでいる感覚になるのは何故だろう。文庫化に当たり、サブタイトルが付いた本作も同様だった。チベット高原での瞑想体験、その地で偶然興味を持った、精神科医・キューブラー・ロス関連の取材、尋常ではない確執のあった父親の看取り、看取りを通して近づくロスの真意、解説者が表した通り、これは魂の旅の一部の記録。個人的に興味深いのは哲学者・ラズロ博士とロスの説の共通店と最終章の蝶体験の話。一気読みした。2012/05/12