文春文庫<br> 神様のいない日本シリーズ

個数:1
紙書籍版価格
¥523
  • 電子書籍
  • Reader

文春文庫
神様のいない日本シリーズ

  • 著者名:田中慎弥
  • 価格 ¥519(本体¥472)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167835019
  • NDC分類:913.6

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

第146回芥川賞を「共喰い」で受賞。受賞会見がテレビなどで話題になった田中慎弥氏作品。野球を続ける夢破れ就職。後に野球賭博絡みのトラブルで失踪した父親から少年に葉書が届く。そこにはただ一言「野球をやってるか?」。父の願いをかなえるべきか、野球を憎む母に従うべきか、少年の心は揺れる。おりしも1986年日本シリーズでは、三連敗からの四連勝という奇跡を西武がおこそうとしていた。「父親が帰ってくる」という奇跡が少年の身にもおこるのか? 父と子の迫真の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

pino

176
「川」「父」「血」の言葉は『共喰い』を彷彿とさせる。野球の話だが、白球も青空もない。躍動するのは父親の思い出の中の野球選手のみ。なにしろ、野球少年の香折は名前と祖父の事でからかわれ自室に籠り、父は扉の外から、ひたすら息子に語る。あの男の過去、寿万との約束、母親との出会い、そして1958年と1986年のいずれもライオンズが絡んだ奇跡の日本シリーズの話を。少年の頃の父親の野球の記憶、特に残されたバットの因縁が知りたくて字を追ったが、描写が細かくて錆を削ぎ落とすように時間が掛かった。野球好きの私は面白く読んだ。2013/10/14

クプクプ

73
1986年の広島カープ対西武ライオンズの日本シリーズ。広島の山本浩二や北別府、金石。西武の清原や工藤、ブコビッチ、そして秋山の宙返りが出てきました。その日本シリーズが開催されているときに、中学生だった父と母は芝居の練習を熱心にしています。母が芝居の題材を選んだのですが、その戯曲が渋すぎて、父と母は演技の難しさに戸惑います。1986年、私は中学生で日本シリーズを見ようと放課後、学校のテレビをつけてしまい、教師に説教されたことを思い出しました。私は田中慎弥と同世代なので当時の時代背景が鮮やかによみがえりました2021/05/15

なる

40
野球部でいじめにあって自室に引きこもった小学四年生の息子に、ドア越しに話しかける父親、という形式で進められる物語。息子の祖父、つまり語り手の父親にあたる人物の悪評からいじめにつながったことと、野球の道を選ばなかった自分自身の半生、それにプロ野球の日本シリーズのエピソードを織り交ぜながら、さらに戯曲『ゴドーを待ちながら』を巧妙にリンクさせる筆力の高さに溜め息。大人になりきれないまま大人になり、それでも父親になろうとする自身の本音をぶつける原寸大の姿は真に迫っていて後半は涙があふれる。分量も終わり方も最適で。2022/08/08

優希

38
父を中心に祖父と息子の邂逅の物語になっています。自分の子供に語りかけるような感じでしょうか。豚を殺したバッド、バッドを捨てた父、香折という息子とつながる中で登場する「ゴドー」が父親と重なっていくのが何とも言えない想いになります。失踪した父に従うべきか、嫌悪する母についていくべきか。血と野球の転機にただクラクラするばかりです。受け継がれた血は結局どこに着地すべきかという確実さは曖昧なんですね。2014/07/23

けいた@読書中はお静かに

35
ホークスのいない日本シリーズが終わり、ようやく読了。壁を隔てた息子に対する自分の過去の独白というスタイル。最初は読みにくかったけど、中学時代の母さんが出てきて一緒に文化祭で演劇「ゴドーを待ちながら」をするあたりから徐々に話に入り込めました。ただ、息子が引き篭もりになったことが話のきっかけでしかなく、息子は何も変わってないのが勿体ないというか…読後がスッキリしない。2016/11/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4701574
  • ご注意事項