- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
ただ気分を吐き出すためだけの言葉をネット上に書き散らし、真偽の不確かな情報に右往左往し、目的もなく自分のフォロワーを増やそうとする。そんなものは、コミュニケーションではない。高度成長期以降、日本人は「現状維持」のために協調性ばかり重んじて、本質的な問題について真剣に「議論」することを避け続けてきた。そのツケが今、原発問題を筆頭とする社会のひずみとして表面化しているのだ。我々はなぜ人と繋がろうとするのか。真のコミュニケーションとは何か。世界が認める巨匠が初めて語る、目から鱗の日本人論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カッパ
22
押井守節が炸裂している。その中で印象に残ってるのは日本人が嘘をつくということ。論理的に議論できる場が少ないこと。公的なひとは嘘をつかないからこそ契約となるのだと思う。そこは納得をしてしまった。私も笑顔で同意して自分に嘘をつくことが多いからな。2018/05/12
どんぐり
22
3.11後に、著者は「みんなが同じ情報を共有することで、あたかも誰もが同じ体験を共有しているかのごとく錯覚し、一斉に、我先にと被災地に感情移入しようとしていることに不気味さを覚えた」という。インターネットや携帯電話、SNSが使われ、あたかも同じ言論空間を共有し、コミュニケーションをしているかのように思っている日本人。異質なものとつきあうためのコミュニケーションを避け、ますます協調性ばかりを重んじて議論することから遠ざかっていることに物申す。2013/05/01
asiantamtam
20
口を開けば出てくる宮さん(宮崎駿氏)の暴言。どれだけ好きなんだよと突っ込みながら読んでいた。本文は微妙な内容も多いが、日本人は論理的思考で物を考えるのが苦手なのは、日本語の文法構造がロジカルでないため、お互いにニュアンスを汲み取って語らないので言論にならないという論法は面白かった。日本語がロジカルでないから論理的思考が苦手なのか、論理的思考が苦手だから曖昧な言語になっていったのか興味深い。2019/08/07
チャー
15
東日本大震災の発生から間もない頃に記された本書は、一瞬で情報が伝わる社会で生じた状況に著者が感じた違和感とコミュニケーション全般についての考えが記されている。日本人の空気を重んじる習性を引き合いに出しながらの内容は興味深い。個人の考えが手軽に発信できるようになった現代は、言葉の重みがますます軽薄になりつつあると警鐘を鳴らしている。そこに加え、周りと同調できれば問題ないという独特の安心感が、本質の追求を妨げ思考停止をもたらすという。素早く反応することは確かに重要かもしれないが大切な何かを見落とす危険性も。2021/07/03
スプリント
11
極論的な表現が多いのは押井さんらしいなと感じました。原発の経緯と今後どのように原発と関わるべきなのか、ひとつの指針が示されているので参考になります。2014/11/07