内容説明
日本の書店にビジネス書が所狭しと並ぶようになったのはなぜだろう――世界的に稀有な時代とされる日本の高度経済成長期を象徴するベストセラーを足がかりとして、「本」と「人間」の関係性を独自の視点で洞察したのが本書です。日本人にとって「ビジネス書」とはどんな存在だったのか。本書では、明治以降からそのおおまかな流れを示しつつ、戦後初のビジネス書ベストセラーとなった坂本藤良の『経営学入門』(1958年)を手始めに、岩田一男『英語に強くなる本』、林髞『頭のよくなる本』、盛田昭夫『学歴無用論』、藤田田『ユダヤの商法』、松下幸之助『物の見方・考え方』、梅棹忠夫『知的生産の技術』といった本を分析しています。「ビジネス書」と呼ばれる、高度成長期の日本のサラリーマンの知的武装に大いに寄与した本が「なぜ売れたか、なぜ広く読まれたか」を洞察することで、「日本人」という存在の行動意識や行動心理がきっと見えてくるはずです。
目次
日本人にとっての「ビジネス書」という存在<br/>1部(かつて「経営学ブーム」を巻き起こした本の裏側 「英語」と「日本のサラリーマン」のあいだ かくして「脳」と「心」のブームが始まった)<br/>2部(根づかなかった「学歴無用」 ハンバーガーで大儲けした「銀座のユダヤ人」 「億万長者」から国民的経営者へ 「松下幸之助」というベストセラー著者による国家への提言)<br/>3部(日本に広めたのは「マネジメント」だけではなかった 「勉強法」が商品化された時代)