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内容説明
かつて有効だった「経済成長=善」というシナリオは、少子高齢化が急速に進む現代日本で、いまでも正しいと言えるのか? そもそも、2002年から07年まで続いた「経済成長」で私たちは「豊か」になったのか? 本書では、米国、日本で企業弁護士として活躍する著者が、「経済成長で格差がなくなる」「経済成長で環境問題が解決する」といった世界中で言われる言説が根拠のないものであることを実証、経済成長の呪縛を解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あちゃくん
87
永遠に経済成長は続いていかないとは思っているものの、じゃあどうすればいいの?と思っていたので、手に取りました。著者は立教大学で教鞭をとっている米国の弁護士。日本の現状と今後に話を絞っていて、どこに希望を見出し行動したらいいかを考える上で参考となりました。2014/10/27
ロッキーのパパ
14
ぼく自身、経済成長がずっと続くことに疑問を感じ続けていたので、本書を読んでみた。経済成長が国家目標として重視されてきた経緯など、参考になる情報が書かれていた。ただ、著者は経済学のプロではないみたいなので、本職の経済学者からかなり突っ込まれる内容も含まれているような気はする。最終章では減成長に向けての提言は、日本の政治状況のいかに改善していくべきかが書かれている。本書は全体にわたって日本に対する温かさを感じるけど、この部分には日本を外部から見た冷徹な視点を感じた。2012/07/04
ミッキー・ダック
12
著者は米国の国際弁護士で現在立教大学教授。経済成長をゴールとする政策は、米国追随の新自由主義・市場原理主義・グローバリズムと一体であり、それが信頼と共助に支えられた日本の社会を壊すと警告する。この本の真骨頂は、GDPより人々の暮らしを優先する経済を作り上げるにはどうしたらよいのか、具体的に「減成長による繁栄」として提示している点である。それらは法律を改正すれば実現可能だが、そのためには日本人が民主的能力を発揮する必要があると説く。それで国民全体が暮らしていけるのか良く分からないが、考えるべき時機だと思う。2013/08/21
te_R9
5
これからも延々と経済成長は続くの?という素朴な疑問があったので本書を手に取ってみたけれど,きっちり答えてくれていた.GDP成長率を追うことが個人の幸福につながらないこともよくわかった.新自由主義のダメさがよくあぶり出されていたと思う.著者が日本人と日本社会の良いところをいくつも挙げていたのは嬉しかったが,減成長には日本人の民主主義意識の向上と倫理感を失わないことが大事だと言っているのだと私は捉えた.2012/09/24
壱萬参仟縁
4
この著者の新しさは、Flourishingという質の高い生活を志向するNGOが支持する考え方を提起していること(180ページ)。繁栄ということで、成長概念とはまた違い、客観的な幸福感や健康から派生する積極的人間像が付随するからである。公民経済という考えでは、相手への思いやり、誠実さ、友情、信頼とある(186ページ)。昨夜は可児から御嵩経由で土岐に抜けたが、バイパスを走っていたのは私のクルマだけ。4車線化する国道のバイパスも走るクルマが少ない人口減少社会なので成長神話に呪縛されている場合ではないのである。2012/11/10