内容説明
境界線は一九七三年。その年に公開された『仁義なき戦い』と『日本沈没』の大ヒットによって、日本映画の“戦後”は葬られ、新たな時代の幕が開いた。東宝・東映の両社は、いかにして斜陽期をサバイブしたのか。なぜ昔の日本映画にはギラギラとした活気がみちあふれていたのか――。エリートvs.梁山泊、偉大な才能の衝突、経営と現場の軋轢など、撮影所の人間模様を中心に描く、繁栄と衰亡に躍った映画人たちの熱きドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
71
東宝も松竹も東映も各直営館を持っていた時代、「仁義なき戦い」も「日本沈没」、どちらも大ヒットした映画だ。それをリアルで観たことも思い出にある。この本で面白いと感じたのはタイトルにある両映画が出来るいきさつもながら、終戦後、組合と会社側の労働争議の件だ。今の映画界、いや一般企業でも労働争議などありえない時代があってその後の映画産業に大きな影響も与えたということだ。正月といえば映画という時代の末期に観たドリフターズの映画は、立ち見だった。この本を読んでそんなことも思い出した。2016/01/22
goro@the_booby
51
東宝と東映、今にして思えば斜陽と言われた時代をお互いよく生き残った。労働争議に戦車まで出動していたとは戦後とはいえ凄い時代。ヒット作を生むためのアプローチは違うが映画にかけた情熱があったからこそか。今じゃ作れないとおもうけど東映の任侠映画面白いんだよ!まぁ作りすぎて薄くなっちゃったのもあるけど銀幕のスターは輝いてた。娘盛りを~渡世にかけて~張った体に緋牡丹燃える~♪2023/05/02
おかむら
37
戦後映画産業盛衰史。東映の方は、同じ春日さんの「あかんやつら」とプロデューサー日下部さんの「シネマの極道」を読んでたのでちょこっと知ってはいた(そんでやはりすごく面白いわ東映の社風!)、東宝の方を知らなかったのでとても面白く読めた。両社の名物男の対比が楽しい。昭和のちょいバカな勢いが熱いし楽しげ!2015/11/27
古古古古古米そっくりおじさん・寺
34
以前この著者の『天才 勝新太郎』を読んで非常に面白かったので期待して読んだ。その期待に違わぬ面白さであった。戦後の日本映画史を東宝と東映のシーソーゲームで綴るのだが、映画黄金期は本当に今は昔の物語になってしまったのだと痛感。つかこうへい『蒲田行進曲』なんてもはや時代劇に等しい。映画はなんとか生き延びている。いずれテレビもこうなるのであろうか?。面白い作品が生まれても、それが業界を救うものではないのだなぁ。しかしこの著者の日本映画史は歴史小説張りに面白い。春日太一の本をもっと読みたいと思う。2014/09/13
ホークス
32
東映と東宝を軸とした、戦後40年の日本映画史であり業界史。かなり大胆に要約されているので、多少偏りはあるのだろうが、自分の様な素人には解りやすかった。ワイルドで変化の激しい時代を背景に、破天荒な人物達が織り成すドラマは手に汗握る面白さ。卓越した創意や先見もあれば、対立、慢心、迷走も数多い。映画『軍閥』の「軍部=悪、ジャーナリスト=善」の構図に対し憤る東宝幹部の話が興味深かった。勝っている時は褒めそやし、負けだすと軍部に責任を押し付けるジャーナリズムの姿には、日本らしい思考停止と責任転嫁が端的に現れている。2016/01/30
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