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内容説明
モスクワでの無気力な生活に疲れた青年貴族オレーニンは、チェチェン人と対峙するコーカサス辺境での軍隊勤務を志願する。その地はコサックの自由な精神に溢れていた。そして美しい少女マリヤーナとの恋が彼の内面を変えてゆく――トルストイ青春期の生き生きとした描写が、みずみずしい新訳で甦る! 作家の従来のイメージを一新するような輝かしき青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
50
今も昔もコーカサスはチェチェン人との紛争が止まないロシアにとっては難しい地方なのですが、主人公の彼にとっては魅力に溢れるみずみずしい土地のようです。この小説はロシアの辺境を舞台にした優れた青春小説なのです。そして、自然や風土の描写が本当に素晴らしくて、コーカサスを旅した気持ちになれます^^2012/03/26
ころこ
43
オレ―ニンは作者との類似があるらしい。調べられるところに本作の経緯は載っていないので、解説の存在が貴重だった。チェチェンとは敵対関係だが、コサックだってオレ―ニンからすると他者だろう。過度な賞賛と気前の良さは蔑視と紙一重だ。お気楽なトルストイの人物像も興味深い。時代が違い、価値観が違うとはいえやはり驚く。自然はオレ―ニンの内面の投影だが、コサックたちにとっては風景ではなく風土である。見下していた女をモノにしようとして、相手に見透かされてピシャっとやり込められる。黙示の支配、非支配の関係が男女関係に重なる。2023/09/18
翔亀
43
若きトルストイの知られざる傑作、と帯にある。「戦争と平和」(以下「S」)の執筆直前に発表されたというが、正直、知られざる傑作という謳い文句によくあるように、その完成度は「S」に遠く及ばないようにみえる。逆に言えば、「S」にトルストイがいかに心血を注ぎ大いなる飛躍を遂げたのだ、と。◇「S」には多くの傑出した点があった。その一つが<自然>。この一点に本作は集中する。コーカサス地方(今のチェチェン)の雄大な雪山に囲まれた森林に、モスクワの腐敗した貴族社会から脱出した若き主人公オレーニンは生の再生を見出す。↓2016/03/02
マエダ
42
ちょっと読めなかった。相性が悪い。2019/07/24
syota
34
トルストイ初期の長編。ナイーブな青年貴族が軍隊に入り、当時はエキゾチックな秘境であったコーカサス地方へ赴任する。『幼年時代』から始まる自伝的三部作の続編としての構想と、自身の従軍体験を生かしたコーカサスのルポルタージュ構想を合体させた作品とのことだ。確かに、雄大な自然やコサックの伝統的暮らしと猟、トルコ系諸民族との緊張関係などルポ的場面はさすがの迫力で、思わず引き込まれてしまう。→2023/05/26