内容説明
鬼才歌人と異才画家、渾身のコラボ歌集。
2001年の刊行時、短歌界の内外にセンセーションを巻き起こした問題の歌集が電子化。キャバクラ嬢「まみ」と、やっぱりキャバクラ嬢であるその妹の「ゆゆ」、そしてウサギの不思議なトリオの、詩的でほわほわしていて乱れていてストイックな生活と、まみとゆゆを巡る恋人や友達や隣人たち、そして切なくふるえるまみの心、愛、祈り。
手紙魔「まみ」は「ほむほむ」こと歌人穂村弘に大量の手紙を送り、穂村弘はその手紙の中のフレーズを変形させて使ったり、そこからインスパイアされてまったく違う短歌をつくりだしたりしつつ、「手紙魔まみ」という、実在するくせに虚構でもあるあやうい存在を歌集の中に生成する。
装丁・挿画には、センシブルな若い女性に熱烈なファンを持つイラストレーター、タカノ綾(カイカイキキ所属)を起用、ポップでキッチュな部分とはかなさや切なさのあやういバランスを、ビジュアル的にも訴求する。
【ご注意】※この作品はカラーイラストが含まれます。
目次
手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)
手紙魔まみ、天国の天気図
手紙魔まみ、アイ・ラヴ・エジソン
手紙魔まみ、完璧な心の平和
手紙魔まみ、キモチワルキレイ
手紙魔まみ、うれしい原材料たち
手紙魔まみ、みみずばれ
手紙魔まみ、ウエイトレス魂
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チョコ
65
菅田将暉と有村架純の映画の中で2人が好きな作家で出てきたので、読んでみた。初読みの作家さん。若い時に出会うと良かったかな。その本に旬な年齢ってあるなぁ。2022/11/04
佐島楓
63
単行本を図書館で借りて、気になり続けていたのを文庫で入手。少女的なものの総体としての作品群が、中毒性を持った奇妙な魅力を放っている。口ずさめるほど好きな歌は二首ほどあるが、ここには引用しない。2019/10/28
まさむ♪ね
43
なんてあやういんだ、まみ。できればお近づきにはなりたくないけれど、気づかれないようにこっそりと物かげから見守って痛くなる。ぼんやりとした淡いピンクのぐるぐるうずまきに、鋭いナイフのような言葉たちが投げ込まれ、それがものすごい勢いで回転しはじめる。狂気をはらんだまみの危険で孤独な妄想哲学。もう、きらきらでくらくらする。《水準器。あの中に入れられる水はすごいね、水の運命として》《ひかひかの蜘蛛のめんめの表面が艶消(マット)になるよ、死んだ瞬間》《なんという無責任なまみなんだろう、この世のすべてが愛しいなんて》2016/07/10
水色系
41
ほむらさん、ヤバい‼︎もうこれに尽きる。「まみ」っていう不思議な女の子を創造して、しかも手紙バンバン書かせてる。自分宛に。あまつさえ「おやすみ、ほむほむ。LOVE(いままみの中にあるそういう優しいちからの全て)。」(P52)とか言わしとる。ほむらさん、ヤバすぎ(2回目です)。問題作やん。絶対また読んじゃうような中毒性もある。2022/05/24
ハンナ
34
せっかく手に入れたのに、読んでは放置し…を繰り返していた。こんな文庫サイズでカラー絵付きの歌集、いいなぁー!ちょっと個性的過ぎて外では読みにくいけれど、歌集といえば重いものが多いので、こうしたサイズは嬉しい。そして絵本のように可愛い! 独特の世界観だけれど、こうして連歌で物語を綴っていく方法もあるのか…ということを体験させてくれました。本当に、ほむほむの中にはまみのような乙女が巣作っているのでは?!と思わされる。 でも、歌を詠んでいる人格は違うというのはよくあることかも…??2015/09/10