内容説明
後藤新平がさっと広げた復興事業の大風呂敷に、「コノサイ」ですからと湧き上がった大衆の肉声――。関東大震災による壊滅から昭和天皇が臨席し祝賀した「帝都復興祭」まで、政治家や財界人が繰り広げた暗闘、各界各層の百家争鳴ぶりなど、六年半の日々を三千四百頁に及ぶ奇書『帝都復興史』をネタに、生き生きと甦らせる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
☆モダンモダンで帝都は回る 2018/02/07
かわくん
1
どうしても東日本大震災の復興状況と対比してしまうのは、岩手に住む者の宿命か。偶然にも後藤新平は岩手の出身である。帝都復興を成し遂げたことを、喜びと誇りをもって語る「帝都復興史」だが、政党間の思惑など裏面についても触れる。さて、今回の震災後の状況を見ると、果たして人間は進歩しているのだろうか、過去に学び反省しているのだろうかと疑問に思わざるを得ない。弱者の視点(震災の被災者)の視点が、今の政治には決定的に欠けているといえよう。 2012/06/13
くらひで
0
関東大震災後の帝都東京の復興の記録をまとめた著書「帝都復興史」を解説。東日本大震災後の東北各地の復興の現状とを重ねて読むと興味深い。首都であり、局所的な被害からの復興であり、今回の震災とは単純に比較することはできないが、政治・行政面での初動対応での無能ぶりが改めて露呈してくる。もっとも、格下げされた復興局がどのような動きで7年という短期間で計画を完遂させたのかという点や今後に活かす教訓などについての記述が薄いのが、残念だ。2013/12/30
Teo
0
帝都復興史を読む、と言うので自ずと復興事業に際して誰がどう臨み、誰がどう邪魔をしたのかと言う、そう言う営みの観点が目立つ内容。スタートは良かったものの、その後の予算削減で随分と理想が潰された帝都復興だが、今次の大震災から比べたら遙かにマシでもあった。2012/04/07