内容説明
3.11以降、原発を絶対悪と決め付け、その廃絶こそが「正義」という論調がマスコミでは吹き荒れている。しかし、この世にリスクのない技術は存在しない。原子力を代替するはずの「自然エネルギー」の実力のみならず、転換するリスクや懸念材料を冷静に見つめるべきではないだろうか。そんな感情論を超えた議論のために、原子力技術、放射線と健康被害、経済的影響を検討し、将来を見据えたエネルギー政策を提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
89
福島第一原発の廃炉の道のりがそこまでスムーズに行ってるのは意外だった。やはり今後原発をすすめるも、辞めるのも現場の作業者の安全も不透明ななか本書を出したのはいいことだったと思う。逆に「原発推進派」の不都合な真実も反対派から出してみて照らしあわせてみたい。2012/08/27
とくけんちょ
45
原発や原子力の仕組みが非常にわかりやすくまとめられていた。そして、ざっくりではあるが、データを示して原子力発電が化石燃料などの発電方法に比べていかに安全であるかを証明している。福島での原発事故は単純なミスが重なったふこうなもので、最新式の原発であれば事故は起きえなかったと。原発事故があっても、他の事故と頻度や規模に置き換えれば、クリティカルなものではないと。違うんだよな、万が一でも故郷、国が死ぬようなものは、イノベーションではない。2021/06/13
Nobu A
32
図書館本読了。昨日大晦日読了の福島第一原発のルポ本と併読。化学反応が絶妙。第1章で購入すべき書籍だと判断し、即アマゾン中古本購入。冒頭の「エネルギー制作というのは非常に広い範囲にまたがり、『エネルギー』の専門家というのは実はいません」が目から鱗。中途半端な知識で如何にメディアに踊らされていたかを痛感。原発の実態と可能性を他エネルギーとの比較や平易な言葉で解説。素人なりに全体像が俯瞰出来、とても勉強になった。著者が気になりググったら理論物理学と計算科学分野で博士号を持つ覆面作家だとか。藤沢数希に興味津々。2023/01/01
ワダマコト
30
突っ込みたくなるようなデータを出しているのは、「議論のために」なんだと思って読み進めた。刊行から2年たった今手に取ったわけだけど、新刊時の原発関連のコーナーはどのようになっていたんだろう?きっと反原発本ばかりが並んでいたに違いない。2014/02/12
ゆきこ
23
原子力発電の基礎知識とメリット・デメリットが学べました。そして、火力・自然エネルギー発電のデメリットも。震災後、マスコミや野党政治家の影響で、日本中が「なんかよくわからないけど原発=悪」という空気になっていますが、やはり物事はただの「印象」だけで判断してはいけないのだと強く思いました。ただ実際に原発がある地域に住んでいると、そう簡単に割り切れない部分もありますが…。エネルギーについては、広く長い視点で、冷静にしっかり考えないといけない重大な問題なのだと実感しました。2018/06/08