内容説明
12年前に起こった幼児殺害事件の犯人として服役していた男は、冤罪だった――。筆禍を起こしたジャーナリスト、警察のずさんな捜査を非難する弁護人、無実の罪によって長い年月を失った男、その男を刑務所に送り込んでしまった刑事、殺された少女の姉、この冤罪事件ですべてを失った男の娘、そして、12年前の真実を知る男。それぞれが傷を抱えながらも、その事実と真摯に向かい合う姿を描いた衝撃のヒューマンサスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっこ
66
ドラマがとても面白かった記憶。幼女殺しで服役していた男が冤罪だった。当時逮捕のきっかけとなった週刊誌の記事を書いたジャーナリスト、取り調べに当たった刑事、被害者遺族と加害者の娘。取り戻すことのできない12年。冤罪はより多くの被害者を生む。事件の真相に近づいてからさらに二転三転するのかと思っていたら、そこは結構あっさりでした。ドラマは小説に忠実に作られていたんだな~と変なところに感心しました。2020/12/02
あっ!chan
40
冤罪…即ち推定有罪をテーマにした小説。加害者の家族は勿論、被害者の家族、冤罪を受けた被害者の家族、さらに冤罪の原因を作った刑事や記者の家族…と不幸の渦中の人がいっぱい出てきて、さらに場面転換の早さや心理描写の浅さにちょっとだけ違和感をもって読み終えた後、作者が脚本家というプロフィールを見て納得。そう言うわけで全体的には大雑把な感じで、最後も解りにくく感動も薄めだったけど、まぁそれなりには面白かったかな~2016/09/08
まぁし
38
「事件が起きて警察が犯人を逮捕する」_。当たり前ですが、そこには加害者、被害者だけでなく、それを報道するマスコミ、取り調べた刑事、弁護士、判決を下した裁判官……多くの関係者、そしてその家族が存在し、ひとつの事件に対し、それぞれの立場で苦しんでいる方もいる事実があることを改めて認識しました。それが冤罪であったらなおさらです。物事を多角的ではなく、一方向からだけで判断してしまったり、過信や傲りが冤罪を招くのでしょうね。登場人物のバックボーンが丁寧で凄く映像向きのような感じがしました2020/11/09
よむよむ
33
12年前の少女殺害事件。被害者遺族と関係者のその後を中心に、冤罪と報道の在り方を問う作品。興味あるテーマだが、場面や視点がころころ変わり読みづらかった。登場人物が多く、また下の名で出てくるので覚えの悪い私は「誰だっけ?」としょっちゅう人物紹介のページを確認。著者さんが脚本家であると知り納得する。まさにドラマのような物語の進行だったわけだ。文字にすると疲れる~2012/05/27
就寝30分前
32
冤罪は関係者全ての人生を奪う。よく分かった。確かに主人公の想いと行動が、人々の心を開いていったのは間違いない。が、やっぱりあの人が真犯人だったから、多くの関係者が溜飲を下げ再生の道を歩みだしたんだと思う。これはやっぱり小説だ。2018/08/25
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- 和書
- 罪人が祈るとき 双葉文庫