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内容説明
「透明マント」は、世界的ベストセラーで映画にもなった「ハリー・ポッター」シリーズにも登場する魔法の定番中の定番アイテム。いま世界中の研究者が真剣に、この「透明マント」の開発に取り組んでいます。脳で念じるだけで物を動かす「サイコキネシス」は、人間を被験者にしてロボットASIMOの手を上げさせる公開実験が成功を収めています。太陽の光で飛ぶ「宇宙帆船イカロス」に至っては、JAXAが実際に打ち上げ済みです。また、ドライバーが不要な「自律走行自動車」や、放射線に強いゴキブリを使った「生きたリモコン昆虫」も、試作品の段階から現実の段階に移行しています。このようにSF作品や映画に出てくるような様々な「夢の技術」がいまどのようになっているのか、その「完成度」をやさしく楽しく紹介します。小説よりもおもしろい現実のお話で、私たちの周りで「驚きの技術」が、いままさに社会を変えようとしている様を描きだします。
目次
第1章 ステージ2(メタマテリアルで実現する―透明マント 地面スレスレを飛ぶ列車―エアロトレイン ほか)
第2章 ステージ3(自由自在に操縦できる!?―生きたリモコン昆虫 ドライバーはもう不要―自律走行自動車 ほか)
第3章 ステージ4(暗黒大陸「小腸」診断を可能にした―カプセル内視鏡 光子の圧力で飛ぶ―宇宙帆船イカロス ほか)
第4章 ステージ1(夢の計算機か、それとも…―量子コンピュータ 高度3万6千キロまで昇降―宇宙エレベーター ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
25
ドラ⚪︎もんの秘密道具か、某公安9課のテクノロジーか。本書に登場する超技術。透明マント、リモコン生物、量子コンピュータ&暗号、宇宙帆船、宇宙エレベータ、不老長寿と人工睡眠、etc。現段階での実現レベルを、1〜4に分け、もうすぐ実用化から机上の空論レベルまで。 読後に夢が広がるか、もう沢山と思うか。技術の進歩による煩悩の拡大より、悟りシミュレータを作ってくれと思う、今日この頃。2015/10/07
てながあしなが
6
寝る前にちびちび読んだ。何気に初PHPサイエンスワールド新書。いいレーベルだと思った。フォントや行間もさっぱりしているし、図版も多い。この本だけかもしれないけど、カラーページなのもいい。そして、この本については、企画勝ちでもある。魚型ロボットや宇宙エレベーター、サイコキネシスは知ってたけど、量子暗号や透明マント、脳リーディングは寡聞にして知らなかった。残念だったのは、文系の壁に衝突したこと。やっぱりわからん。でも、作者がわかりやすく説明しようとしているのは伝わる。だからこそ、一層悲しい。2017/10/11
西澤 隆
4
メタマテリアルによる負の屈折と言われても「???」だが要は光がものを通ってくるのではなく皮に沿って迂回してくるような通り方をする構造の物質を設計することができるかもしれないということ。短い波長のものを形が定まった中で狭く進ませる技法としては、複数アンテナを近い場所に実装するときなどで実用化のめどがついているらしい。その他いくつもの「できないだろ」を実現可能性でStage1から4までに分類してできるだけわかりやすく説明しようとする読み物。スカイツリーよりちょっと前の本なので「その後」を調べるのも楽しいかも。2018/10/16
ユカイ
2
10年近く前の本なので、形にならなかった技術や、参画してた団体があんまり話題になってなかったりとしてて今と比べることでちょっと面白さを得られるいる印象。2021/05/16
うたまる
2
基礎研究中のものから実用化一歩手前のものまで、17のスーパーテクノロジーの紹介本。胸アツで読んでみるも、悲しいかな、各所で文系の壁にぶち当たる。透明マントでは”負の屈折”、長寿薬では”サーチュイン遺伝子”、宇宙エレベーターでは”テーパー構造”なんかがそれで、その都度己の不勉強に涙ぐむ。いずれも夢のある研究なんで、生きているうちに一つでも目にしたいものだ。さて、「夢のある」なんて言ったけど、これらの研究の背後にちらつく軍事利用の影。スーパーテクノロジーで人間性の向上も実現できないものか、と皮肉ってみる。2017/04/02