- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
太平洋戦争が勃発する直前の一九三九年に起きた満州国とモンゴルの国境紛争であるノモンハン事件―。
戦闘の規模からいえば、事実上の“日ソ戦争”にもかかわらず、一万九千人もの戦死傷者を出した大苦戦の内実は国民に知らされることなく、あくまで“事件”として内密に処理された。
なぜ日ソは満蒙の地で激突したか?
なぜ関東軍と参謀本部は決裂したか?
なぜ現場指揮官に苛酷な責任追及がされたのか?
本書は、今なお戦史のベールに包まれた“草原の死闘”の真相に迫る。
この戦争を知らずして昭和史は語れない。
戦前の昭和史の“負の部分”をある意味、象徴するノモンハン事件。なぜ日ソは満蒙の地で激突したのか、複雑な戦場の真相が見えてくる!
【著者紹介】
作家、太平洋戦争研究会副代表
目次
最初の「日ソ大衝突」となった張鼓峰事件
「国境線は自ら決めよ」―満州国とモンゴルの紛争
第二三師団司令部―ノモンハン事件の初動
ソ連軍の登場―最初の突進部隊「東捜索隊」の全滅
独断専行のタムスク爆撃―関東軍と参謀本部の決裂
モンゴル領内での死闘―ハルハ河を左岸へ渡河
「虎の子」の戦車部隊が、ハルハ河右岸を突き進むが…
「戦局の転換なるか?」―重砲兵部隊による総攻撃
「我誤てり」―総攻撃の失敗と小松原師団長の悔恨
日本の航空部隊は、ノモンハンでどう戦ったか?
守勢に転じる関東軍―今さらの第六軍創設
「劇的に勝つ」―ソ連軍、八月攻勢への入念な準備
玉砕か撤退か―ノモンハン戦の運命が決まる
停戦とその後―世界は第二次大戦に突入した
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sho_kotsu
6
ノモンハンにおける関東軍は、組織としての日本帝国陸軍の悪しき部分が凝縮されていた組織であった。戦略的目的が不明なままに開戦し、戦力の無駄な損耗と逐次投入を繰り返した。関東軍もひどいが、大本営も酷い。曖昧で文学的な表現を使って「意図を読み取らせる」命令。命令は本来、明確かつ端的な表現を旨とすべきである。この曖昧さにより、指揮系統は不明確になり、関東軍の独断専行を許した。意味なく優秀な将兵をあたら失い、そして、この戦いにおける戦訓を全く生かさないまま、対米開戦に踏み切ることになる。2012/07/23
はち
6
村上春樹のねじまき鳥クロニクルの中でこのノモンハン事件が扱われている。事件というイメージでこのノモンハン事件を考えると誤りやすい。これは日本対ソ連の戦争だった。日露戦争では日本的組織の長所が出ていたが、半世紀も経たないうちに欠陥だらけの組織に変貌していた。この欠陥だらけの組織がより巨大な戦争に挑んだのだ、それはあの破滅に繋がる。戦史を読むとその国の欠点が分かる。日本のそれは無責任主義と、何かあれば死んで詫びること。バカバカしい。2012/02/05
uchi
5
なかなか奥深い史実。かなり厳しいなか日本軍はよく戦ったと思う。別の角度からも読んでみたい。2018/07/03
ひろゆき
4
日本の侵略意図は中国にあるので、砂、しかない地帯でのモンゴル・満州間の国境紛争など大本営からしたらどうでもいいこと。なのに関東軍の意地のため、大本営の制止にもかかわらず、拡大を続け、結果、モンゴル後見人のソ連が前面に現れる。圧倒的物量に指揮はかのジューコフ。日本、涙目すな。こういう、しなくてよかった戦争の顛末がよくわかる。戦闘地図が配置の部隊名わかりにくく、不親切なのがやや残念。最初は、白鵬や朝青龍の顔を持つ兵隊と戦ったのねえ…と変な感慨。2013/11/22
トーヘン
2
ボロ負け、をしっかり時系列で記述した素晴らしい歴史本。本日再読。現場の中間管理職は大変だ。2013/12/16