内容説明
尼さんは、清く、正しく、美しい――なんてイメージは大昔の話。その実像は大きく掛け離れたものである。絶滅の危機に瀕している尼寺、女同士のドロドロとした人間関係、残念な修行生活、男僧に狙われる尼……。志ある尼さんは今、理想と現実のギャップに悩み、居場所を求めて彷徨っている。男尊女卑の仏教界、受難の歴史、今どき出家する女性のタイプなど、現役の尼僧が知られざる素顔に迫る。本邦初の現代尼僧論!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月讀命
59
『尼さん』というと、あの瀬戸内寂聴さんの様に頭丸めて、袈裟を着て、読経している姿しか想像出来無い。それも、二十歳くらいの清楚な尼さんなら尚良し、なんててちょっと破廉恥かな。この本を読む迄は、私は実際に尼寺に行った事も無く、比丘尼に遭遇した事も無い。(本を読んだ後にも無い。)実態はベール(袈裟)に包まれていたが、この本を読んで比丘尼の修行や生活の様子、更には人間模様を垣間見る事が出来た。この本は尼僧の世界を赤裸々に綴った暴露本であり興味深い。 でも、尼さんと、巫女さんと、修道女にはそそられるな。不謹慎。喝。2012/12/30
佐島楓
19
尼僧という存在に興味があって読んだのだが、だいぶ抱いていたイメージと乖離があるようだ。歴史的背景など、知らないことも多かった。著者はなかなかユニークな方だなと思う。とりあえず私には出家は無理そうです。煩悩だらけなのだがなぁ。2012/05/08
茎わかめろん
13
尼さんの裏側。僧籍にはいっても生活していくためには色々大変。救われたいならNGOに駆け込むほうがいいとか、ヒトラーを尊敬する住職さんは夜ふかし大好きってのはちょっと笑ってしまった。2012/07/15
niaruni
13
修行のための出家ということを考えたとき、実は在家であって修行をするほうが大変なのではないか、とずっと思っていた。でも、本書を読んで、出家をしたところで、悟りに至る道筋が平坦になるわけではないのだ、ということを改めて理解。ま、人間が人間である以上、複数の人間が共に暮らすところに生活と煩悩と軋轢はあって当然と言えば当然。修行はひとりで静かな環境で、というのはこの人の言うことばだけあって説得力あるし、わが意を得たりでもある。修行はやっぱりキビシイのだ。2012/04/12
小鈴
13
サンガジャパンの対談で初めて知り、仏教の話に興味をもち『座標軸としての仏教学』を購入して読み始めたが、途中で放り投げていた(笑)。こちらの新書は、日本の尼さんの実体を軽妙な語り口で書いたもの。尼になるのは簡単、継続するのは難しい。今の世の中、世間を捨ててもどこにも居場所はないのだ。しかし、求道者タイプは華蓮尼のような生き方もできるかもしれない。すべてあなた次第であり、容易な悟りの道はないのだ。2012/01/24