内容説明
2001年、御殿場で発生した「女子高生レイプ未遂事件」は前代未聞の裁判となった。被害者少女の証言に基づき、次々に逮捕された10人の少年たちは全員が犯行を否認。肉親の執念の調査で少年たちのアリバイが成立するや、被害者少女が一転して犯行日を変更。その「訴因変更」がいとも簡単に認められ、裁判が粛々と進められたのだ。物的証拠も裏付け捜査も何一つされないまま、被害者少女の言い分のみを採用した裁判では、少年たちに実刑判決が下された。なぜ、このような不可解な事態が発生したのか。本当に事件はあったのか。その真相に、人気キャスター・長野智子が迫る。
目次
第1章 発端(収監;少女の告白;噂;逮捕)
第2章 転機(自白;真実の告白;アリバイ;親と子の絆;少女のウソ)
第3章 闘争(信じられない訴因変更;矛盾;元裁判長への取材;保釈;新たな謎;一審判決;地裁の判断;高裁判決)
第4章 不審(疑惑の判決文;雨量ゼロの謎;降雨記録の検証;九月九日の御殿場;最後の闘い)
第5章 非情(失われた時間;それでも生きていく)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりもん
17
借りて読了。99.9を見て同じような事件があったと知り読んでみた。現実にこんな裁判が行われていたことが怖かった。テレビドラマでは最後に無実が証明されたのにこちらは有罪判決が。むごい。2018/02/25
Takeshi Kambara
6
親に叱られるのを恐れて少女は地元の少年達に強姦未遂にあったと嘘をついてしまう。軽はずみな言動が少年達の未来を奪ってしまった御殿場事件の顛末。二転三転する少女の発言。物的証拠が何一つ無い中で強要して書かせた甚だ任意性の疑わしい自白の供述書を唯一の証拠とし、親達が必死で集めた事件当日のアリバイや少女の発言における明らかな疑問や矛盾は見過ごすような形で裁判は進められていく。これでは警察、検察、裁判所が己のメンツやノルマに拘って有罪ありきの捏造裁判を行ったと言われても仕方ない。こんなことが許されていいわけがない!2015/07/08
きゃべつ
5
ドラマ「99.9」を見てこの本の存在を知る。 本の中では無罪を主張する少年側からの視点なので、引きずられない様に冷静に読んだつもりだが、有罪判決には納得いいかないものがある。 探し出したアリバイをねつ造という裁判所には理解できない。法とは人を守るものではなく、検察側の起訴を評価するものになっているように思えてならない。2018/04/30
dra-wrappin
5
ドラマのことは全く知らずに読み始めた。やはり警察は事件を作り、犯人を捏造してまでもことを進めようとするのだと再認識した。にしても被害?少女は良い死に方をしないだろうなあ。2018/04/03
ゲンゲン
5
027.ドラマ99.9第5話のモデルと噂されている御殿場事件のドキュメンタリー。文章が平素で非常にわかりやすく書かれていた。これを読むとあのドラマの意義もよくわかる。 それにしても、この事件の裁判は一体どうなっているのだと思ってしまう。 ドラマと異なり、こちらはあれだけ証拠があったのに最高裁でも覆らなかった。 司法、検察は一体なにを守ろうとしたのだろうか。足利事件、袴田事件など冤罪が再審で覆るケースは奇跡でこの事件のようなケースが沢山あるのだろうと思う。嘘をついた少女はその後どうしているのだろうか。2018/03/18