内容説明
豊臣秀吉の頭脳として、「二兵衛」と並び称される二人の名軍師がいた。野心家の心と世捨て人の心を併せ持つ竹中半兵衛、己の志を貫きまっすぐに生きようとする黒田官兵衛。混迷の現代に共感を呼ぶ長編歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
310
大河ドラマの影響もあり、一昔前よりも知名度が上がっているように見えるこの二名。上巻は竹中半兵衛がメインとなる。官兵衛/半兵衛それぞれの人となりは上手く描きわけられ、好ましい主役像。半兵衛=病弱な天才肌、官兵衛=熱血漢という設定は、短絡的に過ぎるところもあるが、分かりやすく、盛り上げやすいだろう。それよりも気になるのは、半兵衛が、これほどまでに官兵衛を認めるに至る経緯がすっぽり抜け落ちていること。書かれている邂逅場面だけでは、説得力に欠ける。その点に目を瞑れば、テンポも良く、展開も早い良作。2020/06/10
とん大西
104
面白い(^_^)。半兵衛と官兵衛。「二兵衛」と呼ばれ秀吉の天下取りを支えた二人の軍師。稀代のブレーンにして名バイプレーヤー。魔王のごとき信長なくして秀吉を語れない。太陽のごとき秀吉なくして半兵衛と官兵衛は語れない。が、しかし、人は人を知る。半兵衛なくして官兵衛語れず、官兵衛なくして半兵衛語れず。そして、二兵衛なくして秀吉を語れず。混迷の邂逅を経て、秀吉幕下、固い絆で結ばれた半兵衛と官兵衛。戦国の世が大きく展開するとき、その地軸にいたのはまぎれもなく、軍師と呼ばれる彼ら二人だった。下巻へ。 2018/09/15
優希
86
面白かったです。戦国の乱世に秀吉の臣下として活躍した名軍師の物語。野望を秘めた竹中半兵衛と軍師を貫く小寺官兵衛。2人が「義」の絆で結ばれたからこそ、若くして死を見つめることになった半兵衛がその後継者として官兵衛に想いを託していったのだと思います。半兵衛の魂を引き継いだ官兵衛はいかにして戦乱の世を歩むのか。下巻も読みます。2018/01/24
k5
74
戦国のお勉強。軍師って書くの難しいな、と思いました。竹中半兵衛と黒田官兵衛が主人公ですが、彼らを神がかって描いてしまっても、人間味たっぷりに描いてしまってもバランス悪いというか。なので前半、話に入り込みづらい。でも、センパイ半兵衛を人間味ある官兵衛が追う中盤は安定してきたかな、と。あと、頭のいい人に対して当然、凡庸の描写も必要になるわけですが、この作品では凡庸=判断力の無さみたいな累計化がなされていて、そこには不満を感じました。下巻に期待です。2021/10/20
キムチ27
42
上巻だけで480頁。「秀吉を支えた軍師」・・張良・陳平と称された2人、半兵衛と官兵衛の物語だ。上巻は半兵衛が36歳で夭折するまでが描かれる。短い人生を理と情のはざまで揺れ続けた文言、そして思索がエピソードと共に語られる。身を持って官兵衞に「無能なものは滅びゆくのが乱世」と悟らせる。穏やかな外見と常なる冷静沈着ぶり。が己の病弱から運命を悟り、覇運を駆け昇らんとする秀吉に気運をかける。力があっても無力を装い、勝つ為の不断の努力を惜しまぬ・・心を鬼にする。博打を打ちつつも、儀を重んずる・・人生の啓示が満載。2015/03/19