内容説明
宦官・高力士が、死の直前に安倍仲麻呂へ遺した手紙には、楊貴妃の出自にまつわる、さらなる驚愕の事実が記されていた。黄鶴、白龍、丹翁……さまざまな人の想いと呪いが交錯した果てに、いま、順宗皇帝は呪法によって瀕死の状態に陥っていた。呪法の正体を暴くよう依頼された空海は、逸勢や白楽天、大勢の楽士や料理人を率い、玄宗皇帝と楊貴妃ゆかりの地──驪山の華清宮へと向かった。中国伝奇小説の傑作、ついに完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
152
あー、読み終えてしまった!著者が17年かけて書いた傑作と自画自賛するのも納得の面白さ!壮大な中国伝奇物語が完結。更にその後、恵果和尚から密を授かる空海の活躍がまた綴られているわけだが、史実なのか、多少のフィクションが入ったとしてもこれがまた興味深い。いや〜、月並みな感想しか書けないのがお恥ずかしいが、実に面白かった。このまま映画館へ!2018/02/28
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
138
久しぶりに読む傑作。書いた人が言っているのだから間違いない。全四巻、18年の長きにわたって書き上げたものを、わずか1か月のうちに読んでしまう。申し訳ないというかなんたる贅沢。このタイトルにして、こんなものを読みたいと思うものを、きっちりと読ませてくれた。いつまでも忘れることのない作品って、そう多くはないが、これはそんな作品の一つになりそうだ。こんなものを書いてくれた夢枕さんに感謝!2020/11/18
mocha
85
読み終わってしまった。獏さんがあとがきで自ら言うように、すごくパワーのある物語だった。史実や仏教哲学を織り交ぜつつも、とんでもないドラマが展開される。空海さんってほんとはどんな人だったんだろう。橘逸勢のことも少し知りたくなった。2019/05/10
ちょろこ
85
見事な舞と宴だった一冊。本の中の異世界への旅、実に楽しかった!面白かった!終わってしまった。そして案の定 ロス状態に陥った。呪詛対決の宴、渦巻く思いと執念、せつない想いは華麗なる舞を見せられたかのようだった。じーさんズの、ある意味一途な思い、貫く思いは組んず解れつの舞のようで圧倒された。映像で観たい気もするけれどやっぱりゆっくりと文字を追いながら異世界へといざなわれるこの感覚は本ならでは。史実と空想、渦巻く思いが絡み合ったお見事な舞と宴の全四巻、ライチを添えて飾りたい気分。2018/05/20
まえぞう
80
空海の天才と密教の神秘に関心があるので、空海ものは何冊か読んでいます。映画で話題になったので本屋で山積みになっていた本作も手に取ってみました。最初のほうでは密教の雰囲気が感じ取られましたが、途中からは白楽天の長恨歌を下敷きにしたファンタージーで、これはこれで楽しめました。2018/03/21




