岩波ジュニア新書<br> パスタでたどるイタリア史

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岩波ジュニア新書
パスタでたどるイタリア史

  • 著者名:池上俊一
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 岩波書店(2014/10発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005006991

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内容説明

長い歴史と豊かな地域色をもつイタリアで,人々の心を結ぶ国民食パスタ.古代ローマのパスタの原型,アラブ人が伝えた乾燥パスタ,大航海時代がもたらしたトマト.パスタの母体となった中世農民のごった煮スープに,イタリア統一を陰で支えた料理書,そしてパスタをつくるマンマたち…….国民食の成立過程からイタリアをみつめます.(カラー16頁)

目次

目  次

 はじめに 日本のパスタ事情
   大人気メニュー・パスタ/日本のパスタ・ことはじめ/戦後のアメリカ式スパゲッティ/つけあわせのスパゲッティとマカロニ/ファミレスとスパゲッティ専門店の広まり/国民食へ/日本の麺文化とパスタ/パスタの故郷イタリア
 第1章 麺が水と出会うまで
   パスタ大国・イタリア/パスタの種類と定義/小麦の歴史/ギリシャ人が伝えたパンとオリーブ/古代ローマの「パスタ」/ゲルマン民族の侵入/ゲルマン民族の食文化とパスタの衰退/パスタの復活と誕生/北イタリアの生パスタ/アラブ人のもたらした乾燥パスタ/シチリアの文化と風/ジェノヴァから地中海へ/教皇と皇帝の対立が生んだ自治都市/コムーネの発達と食文化/ナポリのマッケローニ生産/パスタ・ギルドの誕生/多様化するパスタ/中世イタリア人はアルデンテが嫌い?
 第2章 文明交流とパスタのソース
   昔のパスタはどんな味?/チーズたっぷり、中世のパスタ/大航海時代の到来とスペイン・ポルトガルの台頭/乗り遅れたイタリア/スペイン支配下のナポリと新食材/唐辛子の登場/甘いパスタと砂糖/トマトとの出会い/カボチャとパスタ/トウモロコシとジャガイモ/ソバ/収奪される南イタリア/野菜食いからパスタ食いへ/ナポリの胃袋を満たす栄養食/技術革新とプルチネッラ/トマトソースの誕生/地域ごとのソース
 第3章 貧者の夢とエリートの洗練
   中世農民の暮らし/日常食の雑穀/パスタの原型「ミネストラ」/大食らいノッドの小話/パスタの食事作法/クッカーニャの国/ 『デカメロン』のパスタ天国/エリートたちの貢献/宮廷とルネサンス/どこの国でも似たような料理/マルティーノ、スカッピ、ラティーニのレシピ/高貴な詰め物パスタ/つけあわせとコース/演出する料理/飢え・疫病との闘い/バロック、光と陰の時代
 第4章 地方の名物パスタと国家形成
   特別料理としてのパスタ/パスタの形と名前/南北料理の特色/カンパニリズモの代表選手/【コラム・イタリア各州名物パスタ】/地方料理の成立/統一国家の成立と地方の名物パスタ/他国の餌食となるイタリア/ナポレオンの登場/リソルジメントへの流れ/イタリアの統一と国民意識/ 「イタリア料理の父」アルトゥージ/料理を通じた国家統一/ブルジョワの台頭と新しい食文化/料理の「平等」とレシピによる「言語教育」/国民食と地方料理
 第5章 母と子の思い
   母乳としてのパスタ/料理の担い手としての女性/料理上手が結婚の条件/美しいパスタを作り出す女性職人の手/マンマの味、パスタ/カッペッレッティのミネストラ/カトリックの女性像/ブルジョワの規範/ファシズム体制下での女性の役割/パスタと女性
 第6章 パスタの敵対者たち
   一九世紀末の庶民の食事/貧しい農民たちの近代/パスタを遠ざけた一九世紀の貧困/ファシズムが変えた食文化/パスタの敵対者の登場/貧困とアメリカ移民/イタリア人差別/非難された移民の食生活/ヨーロッパに広まるアメリカ神話/戦後復興とアメリカ/未来派宣言/打倒パスタ!/進む肉消費/自然から遠のく食事/女性の社会進出とパスタ
 おわりに 歴史の中のパスタ
   スパゲッティ食い=イタリア人/パスタとイタリア史/地中海式食事/スローフードとしてのパスタ
   あとがき
   イタリア年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

443
イタリア料理とはいうものの、イタリアの統一は19世紀も半ばを過ぎてのこと。それまでは、各都市や地方ごとに言葉さえも違っていたのだから。本書は長いイタリアの歴史をパスタを軸に語ろうとする面白い試みなのだが、最も目を開かれたのはアルトゥージによる料理本が、料理のイタリア全土への普遍化を果たしたばかりではなく、イタリア語の、ひいてはイタリアそのめのの統一に果たした役割である。著者はイタリア中世史の専門家だが、こうした斬新な視点からイタリアを見ることで、新たな観点を提示して見せてくれた。2019/01/09

アキ

88
パスタとイタリア史の奥深い関係。古代ローマでは小麦はパンの材料になるとともにラザーニャのように食べるようになった。中世には雑穀や野菜・豆類のミネストラが農民の日常になり、「水との結合」パスタが登場したのは11~12世紀。乾燥パスタがシチリアで、生パスタが北イタリアで作られ、大航海時代にトマト・香辛料などが導入され、1861年のイタリア統一でイタリア料理が国家統一の文化的要素になり、イタリア語の普及にも貢献した。最も興味深い考察は、母乳としてのパスタでした。マンマの味はイタリア人の母親愛につながるのですね。2021/08/05

佐島楓

57
食文化がその土地から生まれ(あるいは持ち込まれ)、普及していくには必然性がなければならないのだな、と思う。食の本も歴史も好きなので、これからもこのような本は読んでいきたい。2016/07/20

sk4

53
長い歴史によって真の【イタリア料理】というものは、穀物と野菜と乳を中心とした【農民料理(〜文中表現)】であるという事がよくわかった。 そういえば『レミーのおいしいレストラン』というディズニー映画で、権威的で意地悪な料理評論家のハートの氷を溶かしたのは心を込めて作ったラタトゥイユ(野菜の煮込み)だった。 野菜と穀物バンザイ! パスタ大好き! ところで文中の、日本に中国から麺が「伝わった」で、朝鮮人が日本の寺で蕎麦の「作り方を教えたらしい」というゴリ押し表現がウケたw2014/06/22

ホークス

38
人間は、環境変化に自らの感覚を巧みに適合させる動物だ。長い歴史の中で食の嗜好を変化させながら、パスタという国民食を生み出したイタリアは、世界でも稀有な存在である。古代ローマに生まれたパスタの原型は、ゲルマン侵入による農地荒廃で一旦姿を消す。中世に北部で生パスタとして復活し、南部にはアラブ人が乾燥パスタを持ち込む。小国分立でパスタが多様化・ご当地化した後、トマトと唐辛子がさらに大変化をもたらす。近代、国家統一のために改めて「イタリア人」を作ろうとした時から、パスタはイタリア人の紐帯になって行く。2017/07/14

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