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内容説明
紀元前五世紀のインドで生まれた仏教。中国では布教に漢訳の経典が用いられたのに対し、日本は漢文のまま経典を輸入した。両国においてサンスクリットの原典は、ほとんど顧みられていない。中国は漢訳ならではの解釈を生み出し、日本では特権的知識階級である僧が、意図的に読み替えた例もある。ブッダの本来の教えをサンスクリット原典から読み解き、日中両国における仏教受容の思惑・計算・誤解を明らかにする。
目次
序章 日本における文化的誤解(本朝・震旦・天竺の三国
「中国」と呼ばれたインド ほか)
第1章 インド仏教の基本思想(タゴールの仏教評価
徹底した平等-生まれによる差別の否定 ほか)
第2章 中国での漢訳と仏教受容(訳経者たちの顔ぶれ
音写語のいろいろ ほか)
第3章 漢訳仏典を通しての日本の仏教受容(漢訳中心の仏教受容
笑えない笑い話 ほか)
第4章 日中印の比較文化(日本語になったサンスクリット語
インド・中国から来たコスモポリタンたち ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
47
「和魂○才」の精神は今の日本人にも生きている。移入された「文明」は支配するための道具として活用されるが本来の精神が血肉になることはない。 遠藤周作「沈黙」が言わんとしているのは日本人にはキリスト教精神は根づかない(それを一番わかっているのはバチカンかも)。神秘主義的な思想が東洋のものと正反対 エホバの証人信者が輸血を拒否して亡くなることが狂気と受け止められる風土なのである。 仏教も本来は哲学であり、発祥の地インドでさえ原始仏教は衰退しており、オウム真理教のような際物・キッチュにしかならない。
inami
34
◉読書 ★3.5 子どもの頃、信心深い祖母が朝夕読経を行っていて、それを聞いていた(聞かされていた)自分は、門前の小僧習わぬ経を読む状態、もちろん今でもどんな意味なのかまるでわかっていない(笑)。仏教は、インドで生まれ、中国で漢訳されて、その漢訳されたものが(漢文のまま)日本に伝わったが、サンスクリットの原典は、ほとんど顧みられることなく、なかには僧が意図的に読み替えたり、誤解も少なくないようだ・・インド人は皆北枕で寝ていて(北に理想の国)、多くの人が蓮の花を結婚式に持参する・・日本では考えられないわ!2021/06/11
ふくとみん
31
法華経を訳されている植木雅俊さんの本。サンスクリット語で書かれたものを訳されたものとお坊さんが仏前で唱える漢文の違いを解明するために読んだ。ブックカバーに書かれてあった壮大な伝言ゲームというしかない。最後の一文「悪い面は反省し善い面を伸ばしていくことが今後の課題として問われよう。」仏教を科学的に解明する才能に感銘するしかない。2025/06/16
かごむし
29
釈尊からはじまった仏教は、長い時間をかけて経典として結集され、中国に伝わる時に漢訳され、日本へと伝来してきた。僕が仏教に対して抱いていたイメージが、文献的に裏付けられるようで、我が意を得たりと思える読書であった。そしてそれは、様々な示唆に富んでおり、これから思索によって開いていけそうな、手がかりを提示されたような気がする。国を経て、文化を経る中で、仏法はその表現や、重点を変えてきた。その中で発展と言えるものもあれば、変質と言えるものもある。日蓮に言及する記述を読んだ時に、著者に共感できる理由がわかった。2016/12/12
Tomoichi
28
法華経などをサンスクリット原典から翻訳した著者が、インド・中国・日本の仏教理解を優しく比較しながら解説。翻訳は現代でもそうだが訳者によってどうしても誤訳や意訳がある。仏典も漢訳段階でそういうことが発生しその漢訳を日本人が読下す。そりゃ勘違いも起こるよな。逆にそれが新たな日本仏教が展開されるのだから面白い。著者訳の法華経も読んでみたいしその師匠中村元の著作も読んでみたい。2019/07/09
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