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内容説明
軍部と革新官僚が手を結び、電力の国家統制が進んだ戦前、「官吏は人間のクズである」と言い放って徹底抗戦した“電力の鬼”松永安左エ門、「原爆の先例を受けている日本人が、あんな悪魔のような代物を受け入れてはならない」と原発に反対した木川田一隆など、かつて電力会社には独立自尊の精神を尊び、命を賭して企業の社会的責任を果たそうとする経営者がいた。フクシマの惨劇を目の当たりにした今こそ、我々は明治以来、「民vs.官」の対立軸で繰り返されてきた電力をめぐる暗闘の歴史を徹底検証し、電力を「私益」から解き放たねばならない。この国に「パブリックの精神」を取り戻すところから、電力の明日を考える。【目次】はじめに 電力を「私益」から解き放つために/第一章 国家管理という悪夢――国策に取り込まれた電力事業/第二章 誰が電力を制するのか――「鬼の棲み家」で始まった民の逆襲/第三章 九電力体制、その驕りと失敗――失われた「企業の社会的責任」/おわりに 試される新たな対立軸
目次
はじめに 電力を「私益」から解き放つために
第一章 国家管理という悪夢――国策に取り込まれた電力事業
第二章 誰が電力を制するのか――「鬼の棲み家」で始まった民の逆襲
第三章 九電力体制、その驕りと失敗――失われた「企業の社会的責任」
おわりに 試される新たな対立軸
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみやん📖
6
はじめて、著者の本を読んだ。新書だから仕方ないのかもしれないが、他人の本の引用が目立ち、「私は思う」の決めつけが気になる。松永、木川田を称え、小林一三、平岩を叩く。官憎しの一念が、そういった価値観に通じているのようだ。 戦前戦後の電力事情をおさらいできるのが利点。2016/12/13
ぽんくまそ
5
北海道全島が停電した事件の原因は公か民かどちらつかずの無責任九電力体制にあったと私はみている。こんな無能な北電が泊原発を動かしているのは危険だ。これはフクシマ原発爆発の約半年後に著者の得意分野から電力業界に切り込んだ本である。壱岐島生まれの電力の鬼・松永安左エ門が事実上の主人公である。著者は国営化に逆らった松永を褒めるが国鉄の分割民営化は悪くて電力の分割民営化は正しかったのだろうか。平岩外四だけを変節漢のように罵るが、著者が褒める木川田一隆は結局は原発戦犯だろう。松永の師福沢諭吉の在野根性は評価できた。2022/05/26
更紗蝦
5
以前、『日本型行政委員会制度の形成-組織と制度の行政史』(伊藤正次・著)という本で、偶然、電力事業の編成の歴史を知り、「行政史の一部としてではなく、電力事業の歴史だけに特化した本が読みたい」と思っていたので、『電力と国家』は丁度いい内容でした。松永安左エ門氏を礼讃しすぎている点が少々鼻につきますが、読み物としては大変面白いです。2013/03/23
月をみるもの
4
電中研を、松永安左エ門がつくったとは知らなんだ。。2015/04/25
まさきち
4
電力が国営化された戦前の話.松永という人を良く書こうとしているので,その点の偏向がありそうな点は気になるが,佐高さんはそういう方なので,まあ,話半分ぐらいで.著者の意見は無視して,電力国営化から,GHQによる分社化まで,どんな時代だったかを知るにはいい本.東京電力を国営化せよ,と訴える前に一読してもいいかも.2012/05/22