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内容説明
江戸時代において「まことの武将」と評されるとともに、その家訓が武士の心得として読み継がれるなど、後世の武士に大きな影響を与えた仁徳の武将、武田信繁。父・信虎に廉直な気質を愛され、次代の後継者とも目されていた信繁だったが、家臣・領民のために兄・信玄に従って父を追放。兄弟、親族同士が争う戦国時代にあって信玄を献身的に支えた。家臣の統制と領国経営に力を発揮するとともに、権力の大きさゆえに道をはずれそうになる信玄を、自身を犠牲にしてでも正す役目を負う。そして川中島の合戦では、信玄を守るために壮烈な戦死を遂げた。信玄は遺骸を抱いて号泣し、武田家臣団からは「惜しみても尚惜しむべし」といわれるだけでなく、敵である上杉謙信さえもその死を悼んだという。武田二十四将、随一の副将の生涯を爽やかに描く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かいゆう
30
父信虎に疎まれていた兄晴信と違って、かわいがられていた信繁。慢心する事なく、兄を支える決心をする。兄の一歩後ろに立ち、周りの状況を冷静に捉える。言葉は少なくとも、一貫したお屋形様を思う心、武田を思う心、民を思う心が見える。話の流れ的には、「武田信玄」などで書かれている内容と同じだが、第四次川中島の合戦に赴く前の息子との会話が、信繁らしい部分なのだろう。肝心な最後の戦いの部分をもっとよく知りたかった。(サラッとで終わっちゃうくらい、上杉側の勢いが凄かったのかな)2016/08/19
かいと
23
真田昌幸の次男の真田信繁の名前は「武田信繁」からつけられたことを知りました。川中島の戦いのところで、一兵も信繁の陣を通過させないように守っていた所が、一番心に残りました。2016/09/15
maito/まいと
4
読みながら、「豊臣秀長」(堺屋太一著)を思い出した。それくらい、本人よりも父信虎や兄信玄、甲斐国に関する描写がほとんどで信繁本人のエピソードが出てこない、でも信繁の人となりが柔らかく伝わってくる、という不思議な展開。果敢な兄信玄を支える姿は武や知謀よりも、和の人柄が窺い知れる内容となっている。終盤の家訓制作話しは、今の政治家に聞かせてやりたいくらいの名エピソード。大事なのは文字にして残すことではなく、人の心に宿り受け継がれていくこと。「伝える」ことの本質を学んだ気がした。2011/10/06
田中AD
3
読んでて何かつまずくと思ったら信繁が質問が多すぎるから変な感じになってしまってる。2015/04/23
ユウ66
3
名副将と言われながら、どんな人物かあまり姿が見えなかった信繁像を見られることを期待して購入。 残念ながら信繁の視点を見ながらの信玄に終止し、肝心の信繁の活躍はあまり語られず消化不良でした。2012/01/19