内容説明
昭和9年9月21日、室戸台風襲来。未曾有の大災害の全体像を記録した文献は未だに存在しない。著者は〈学校災害〉という情景に焦点を当て、その実況を把握しようとする。20数年にわたって当時の気象情報、災害記録、報道資料はもとより、さまざまな著名人の日記や手紙や著作、被災した児童生徒の作文と学校教師が遺した証言、そして当時の人々の記憶の言葉に至るまでを渉猟し、室戸台風という悲劇のドキュメントを綴る。
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目次
昭和九年九月二一日
児童の作文(綴り方)から―堺・三寶尋常小学校
児童の作文(綴り方)から―大阪・豊津尋常高等小学校
その前日
四国・室戸岬測候所
室戸水難
雨また雨―中国地方豪雨
災害が学校を襲うとき―尼崎尋常高等小学校
校舎倒壊―それぞれの現場
殉職美談は偽作された
その日の雨、風、高潮―大阪の場合
測候所技手の手記
高潮遭難―三寶尋常小学校
ある殉教女教師のこと―茨城高等女学校
あらしのあと
風をつかむ―記録と省察のあいだ
終章にかえて