内容説明
産業革命以来、「発展」のため進歩させてきた末の技術が、いま暴走している。その意味で、原発災害を原発だけの問題としてとらえてはいけない。これは「文明の災禍」なのである。私たちが暮らしたかったのは、システムをコントロールできない恐ろしい社会ではない。「新しい時代」は、二百年余り続いた歴史の敗北を認めるところから始めることができるのである。時代の転換点を哲学者が大きな視点でとらえた、渾身の論考。
目次
序章 供養―死者と向き合う
第1章 衝撃―自然の災禍、文明の災禍
第2章 群衆―イメージの支配
第3章 時間―営みをつなぐ
第4章 風土―存在の自己諒解
第5章 共有―何かがはじまっていた
終章 自由―イメージとは異なる世界