新装増補版 自動車絶望工場

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新装増補版 自動車絶望工場

  • 著者名:鎌田慧【著】
  • 価格 ¥691(本体¥629)
  • 講談社(2012/09発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062770392

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内容説明

働く喜びって、何だろう。自動車工場で働きはじめた34歳のぼくを待っていたのは、人間性を奪うほど苛酷で絶望的な仕事だった。考える暇もなく泥のように眠る毎日、悲鳴をあげる身体、辞めていく同僚たち。読みやすい日記形式で「働くこと」の意味を問うルポルタージュの歴史的名作に、最新の情勢を加筆した新装増補版。 (講談社文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

75
1973年頃の自動車大手の工場に期間工として入りその様子を描いた体験ルポ。日記形式。当時の環境は現在とはかなり違っていたとはいえ本書の中に書かれる労働災害のあまりの多さ、労働時間の異常な長さには驚くばかりだ。ちょうど車が一般市民にとっても手が届き車も増産につぐ増産だった時代、企業の繁栄の裏側を知る。しかし現在もブラック企業や長時間労働による過労死など、人を一番に優先にしない面はほとんど昔と変わっていないのではないか。2011年増補版2017/04/17

GAKU

52
1970年代始めトヨタの自動車工場で、期間工として働いてみた作者のルポルタージュ。ルポルタージュの記念碑的名作と言われているそうです。とにかく過酷で劣悪な労働環境。とても日本を代表する企業とは思えない、労働力の酷使、労働者の使い捨て。現代版「蟹工船」!読んでいて刑務所の方がよっぽどましではないかと思えました。現在はロボット化が進んでいるとはいえ、期間工に変わり派遣が酷使されているのも事実。日記形式で読みやすく、大変興味深い1冊でした。⇒ 2021/09/01

Miyoshi Hirotaka

20
ハスクリーの「素晴らしい新世界」はT型フォード誕生を新暦元年とする5世紀後が描かれるが、この本は半世紀後の現実が報告されている。主役はコンベア上での流れ作業。止めてはいけないという強迫観念につき動かされて人が疲弊した。さらに半世紀後、この考え方は製造現場から物流分野に持ち込まれ、雇用も直接から間接になり、帰属意識さえ無用とされ、労働は消耗部品化した。「新世界」は早期達成される。残るは格差の固定と情報操作。前者は、「一億総中流」が格差時代へとゆっくりと変化してきた。後者はチャットGPTでこれから急速に進む。2023/05/13

ヒダン

18
1972年9月から半年間トヨタ自動車の工場で季節工として働いた時のルポルタージュ。高度成長で作れば作るだけ車が売れた時代、トヨタでは人員削減こそ真の原価低減として人員を減らしながら労働密度と労働時間を増やすことで増産していた。ベルトコンベアのなんと残酷なことか。効率を上げるにはただコンベアの速度を上げれば済んでしまう。休みなく長時間一連の手順をただひたすら繰り返す。考えるのは残り時間だけ。機械の不足分を人間が補う。工場では人間は機械の代用品なのだ。賃金が高めなのが唯一の救いだが、つり合っていない。2016/05/15

13
冒頭を読んで、「中国のこと?」と錯覚した。今はもっと自動化・機械化した工程が増えているとは思うが基本、生産ラインのワーカーへの対応は昔と変わっていないと思う。読み進めていくと気分もどんどん暗くなっていく、、、が、工場勤務経験者としては「これって普通じゃね?」という感覚があるのも事実。この感覚が変なのか? 現在は派遣が主流で著者の体験したキカンコーよりも下の階級になるそうな。 生活のために働くことで体を壊し、普通の生活ができなくなる。今更ながら働くこととは何なのか考えさせられる。2015/04/02

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