内容説明
周囲に白眼視され孤独に生きる自動車整備士ラリーは、ある事件を契機に疎遠だった少年時代の親友、人種も境遇も超えて友情を育んだサイラスと再会するが……。英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー(最優秀長篇賞)受賞作!ホラー小説を愛する内気なラリーと、野球好きで大人びたサイラス。1970年代末の米南部でふたりの少年が育んだ友情は、あるきっかけで無残に崩れ去る。それから25年後。自動車整備士となったラリーは、少女失踪事件に関与したのではないかと周囲に疑われながら、孤独に暮らす。そして、大学野球で活躍したサイラスは治安官となった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
58
最初に主人公の編、、次にもう一人の主人公の編がくる。一人は危機的状況で一人は比較的うまくやっている。次の編では、いきなり情景が変わり、最初の主人公の目で車の中から見た、母と息子(もう一人の主人公)があまりに寒そうで、その二人の事がとても気になり、こちらの興味を完全に捉えてしまった。中盤もダレることなく、最後まで読ませてくれるが、ラストの20ページほどはもう少し簡潔にして読者に委ねても良かったのではないかな。こちらは「解錠師」と2011年のミステリ賞を二分したらしいが、私はこちらが断然好み。2014/04/26
sin
53
孤独な魂が触れ合いを求めるが人は言葉ではお互いを理解出来ない。勿論立場が違えば求めるものも違うそして集団のなかでは自分の気持ちに素直になれない。小手先だけの推理小説などではなく上質のクライムノベル、作者の筆が読者をアメリカ南部の情景に主人公達の少年時代に誘う。物語は結末をむかえその先に新たな物語を暗示する。物語は終っても人生の様に続いてゆくここんところで言葉少なに感動が伝わってきました。2014/12/20
神太郎
41
静かな物語だった。それでいて村八分みたいな扱いをされる主人公の一人ラリーの境遇が可哀想すぎて胸にくる。正直、冤罪ものは日本も辛辣だがアメリカもなかなかである。それに加えて、人種問題も入ってくるしで、前半は結構読むのにキツさがあった。過去と現在を行き来させるのとで物語に厚みをうまくもたせたと思う。静かに始まり、最後は静かに終わる。余韻を楽しむミステリーであった。推理を楽しんだり、大きな展開を期待してる人は少し物足りないかもしれないですが。2020/07/26
ひめ
36
ラリーとサイラス、どちらが黒人なのか、物語の途中までこんがらがってた。黒人のサイラスが勤勉に仕事をしていて、ラリーは村八分状態。アメリカでは、これが当たり前なのかところどころに差別がでてきてドキッとした。とても静かな物語という風に感じた。めちゃくちゃ面白いわけではないけれど、私は好きだな。2015/10/13
yooou
34
☆☆☆★★ うーむ、話が走らないのは僕の好みじゃないなー。冒頭のシーンが一歩も進まないまま行かれて波に乗れないまんまでした2017/05/14