内容説明
旅に出たまま戻らない恋人を探すため、OL・香乃は彼の故郷である奈良・橿原を訪ねる。しかし彼の母親から彼は既に亡くなったと告げられる。「すぐ戻るから待ってろよ」と言ったのに、なぜ…。時が止まったような町で答えを探す香乃は、考古学者から亡き夫の復活を待ち続けた女帝・持統天皇の逸話を聞かされる。「待つ」ことの意味とは――。時を超え、男女の想いが交錯する。カンヌ映画祭出品『朱花の月』原案小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
33
☆☆☆★ 万葉時代、昭和戦中期、現代が橿原でオーバーラップする。「待つ」ことの意味を常に頭に置きながら、恋人の元から旅立った男の謎を解くように読み進めていく。2022/02/18
マドリン
17
いつもの坂東眞砂子を期待して読み始めたが、なんだか間延びした感じで途中で飽きそうになったけど最後まで読み切った。 途中から戦時中の話が入ってくるけど、せっかくならば始めからガツンとストーリーに入っていればよかったのに。2024/02/26
mari
15
この本から『朱鳥の陵』へと繋がったのかな。以前読んだのにまた再読。ほとんど印象に残らない内容だったからかなぁ~。もう、読まないようにせねば(笑)2014/09/30
柊子
12
小池真理子さんがこのお話を綴ったら、「待ってろ」と言ったきり戻らない、実体のない恋人を永遠に待つだろう。でも、坂東真砂子さんは「消えてっ!」と怒鳴った。私は待つのがあまり苦にならない女なので、小池さん派だなあ。2015/09/30
てまり
11
坂東さんの作品の世界に久しぶり浸りたくて手に取った。奈良が舞台の死者と現代をつなぐ物語。亡くなった人に待たれているなんて…それが恋人や大切な人だとしても考えるだけでもゾッとする。香乃は引きづり込まれずよく戻ってきた。坂東作品はやはり独特で引き込まれる。2020/11/28