内容説明
終戦翌年の夏、5歳の男の子が誘拐された。≪使い古しの新圓(しんえん)で百萬圓を用意しろ。場所は有楽町カストリ横丁≫という脅迫状に従い、屈強な刑事たちが張り込むなか、誘拐犯は子どもを連れて逃げてしまう。そして15年後、とある殺人事件をきっかけに、再びこの誘拐事件が動き出す。第54回江戸川乱歩賞受賞作。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ALATA
117
初読み作家さん。「お前は本当の息子じゃない」今わの際の一言が呪文のように繰り返される。過去の誘拐事件からひきおこされる殺人事件をたどるミステリー。戦後間もない貧しい生活の中で必死に自らの出自を探るストーリーには読み応えがありました。戦後の時代背景がうまく書かれていて良かった★4※捜査方針で反目する刑事達、未解決事件を引きずる元刑事の葛藤、久々面白い乱歩賞作品でした。2024/06/03
aqua_33
77
翔田さん初読み。戦後の混乱期に5歳の男の子が誘拐された。身代金は取られ、子どもも戻らず、犯人も捕まらず。それから15年後、女性が殺害された。2組の反目し合う刑事たちによる捜査により、かつての誘拐事件とこの殺人事件は繋がっているのではないかという方針となる。一方、母親の死の直前の言葉から自分は誘拐された子どもなのではと訝る良雄。2組の刑事と良雄という三方向からの視点がやがて1つの真実に辿り着く。そしてその結末は「おぉぉ!」と唸るほど予想だにしないもの。2017/07/19
やも
76
【第54回江戸川乱歩賞受賞作】終戦翌年の夏、男の子が誘拐された。男の子はその後戻ってくることなかった。それが15年後にある殺人事件をきっかけにこの誘拐事件も動き出す…▶お初の作家さん、尻上がりに面白くなった。前半、私が馬鹿なだけかもしれないけど、一人称が誰が語ってるのか分かりにくいのがマイナスポイント。だって2つの事件の繋がりがあまりにも見えないし、個性的な人もいなくて登場人物に特徴がないんだもの💧ドラマだったら面白そうなのに。後半の一気に繋がっていく感はお見事でした。2025/04/03
やま
75
① 読めば読むほど、引き込まれていきます。戦後の混乱期に誘拐された勇一をめぐる物語です。発端は、昭和21年8月7日に東京都世田谷区成城町に大きな屋敷を構える実業家、久我恵三の一人息子勇一5才が誘拐されたことです。15年後に、この事件が、ふたつの違った方向から物語が進んで行きます。ひとつは、関内市民病院で危篤の母親谷口貞世の枕元で息子の良雄が、母から聞いた「おまえは、ほんとうの息子でないよ。私が誘拐ーーー」と言って昭和36年6月25日に亡くなります。→2023/01/21
アッシュ姉
74
【辛口注意報】昭和21年に起こった未解決の児童誘拐事件。15年後に起きた一つの殺人事件をきっかけに、再び事態が動き出す。二つの事件の関係者が多く、登場人物の背景を把握しきれないうちに、唐突に犯人が明かされ、驚くタイミングを失った感じ。私の読解力の問題もあるが人物描写が弱い。心情も伝わってこないし、年相応の振る舞いもなくイメージがわかないため、誰にも感情移入できず最後まで入り込めなかった。真相は気になったが、根拠の薄い展開が放置されたまま、強引にエピローグで締めた印象。期待していただけに残念。2016/06/28
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