内容説明
「靖国で会おう」――。本土攻撃が激化する中、夜間戦闘機「月光」に乗り込んだ若き海軍中尉・武者滋(むしゃしげる)は、決死の覚悟でB29の大編隊に突入する。被弾して薄れていく意識の下「月光」が舞い降りたのは、なんと現代の厚木基地だった。時空を超えて飛来した“英霊”が、私たちの心に問いかける靖国神社の存在とは。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
360
内田康夫は初読。大戦末期から現代に、図らずもタイムスリップしてきた武者中尉の物語。タイムスリップの有利な点は漸層的に時代や社会が変化するのではなく、一気にそれを飛び越えるところだ。武者中尉の抱く幻想と現代の我々の持つ幻想とは、もはや根底的に違っている。靖国神社は、その最も象徴的なものだろう。「死して祖国の英霊となって靖国神社に還る」との一途な信念は純粋と言えばそう、単純にすぎると言えばまたそうだ。内田はさらに、餓えて死んでいった戦死者のアンチテーゼをも示している。最後は予想通りのあの行動しかないだろう。2019/11/30
yoshida
127
正論が展開される作品。大東亜戦争でのパイロットが現代にタイムスリップする。彼が知る現代の日本の欺瞞。特定アジア諸国や米国との関係。過度な媚びと従属。国内外に毅然とした態度をとれぬ政府。財界に配慮する為に、危険と知りながら継続される原発。勿論、戦死された方々が最後に思ったことは分からない。しかし、国難に殉じた方々を国家が顕彰できない日本はおかしい。憲法改正が議論されているが、真に必要なのは自主憲法制定と思う。あの戦争を総括し、国民ひとりひとりが議論し、考え憲法を制定すべき。そこから日本の歩みが始まると思う。2019/11/20
koba
109
★★★★☆2015/05/02
RIN
35
永瀬隼介さん『カミカゼ』の読後、読友さんからおススメされて読了。太平洋戦争終戦間近の航空機乗りが現代にタイムスリップという設定が全く同じ両者。当時の軍人が現代の日本を見て様々に思うところは同じだが、テーマは前者が日米関係、後者が靖国問題と異なる。かの戦争で亡くなった方々がどのような思いで亡くなっていったのか靖国をどう考えていたのかそれは想像するしかないし現代の日本に生きる自分らに想像することすらできないのかもしれない。だからこそ、こうして一つの視点を提示することは意味のあることだと思う。2014/02/16
shinchan
23
何とも悲しい内容でかなりつらい結末でしたね!タイムスリップ好きです。ハッピーエンドをついつい期待しましたが? ☆4.9
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