内容説明
戦争を知らない世代が見た旧満州の残像――。私は歴史学者でも、研究者でもありません。ただ、日本の植民地時代に思いを馳せるのが好きな旅人に過ぎません。幸いにもさまざまな縁があり、かつての満州国で暮らした方たちと出会って、いろいろな話を聞くことができ、このような本を書く機会に恵まれました。私が住む朝鮮半島や、中国東北部、台湾の日本植民地時代については、個人によって評価が異なるので、その是非をどうこう言うつもりはありません。私は、かつての満州の地を歩き、満州時代の日本人や中国人、朝鮮人がどのように暮らし、どんなときに笑い、どんなときに泣いたのかを想像してみたかったのです。歴史の難しい話は抜きにして、海洋まずは中国東北部に出かけてみませんか。──著者・鄭銀淑
目次
第1章 中国東北部に息づく二つの朝鮮 延吉・龍井(延吉の旅;龍井の旅)
第2章 中・朝・露の文化が混在する街 開山屯・図們・琿春・和龍(開山屯の旅;図們の旅;琿春の旅;和龍の旅)
第3章 近代建築が残る旧満州の首都 長春(新京)(長春の旅)
第4章 誰もが憧れた旧満州の大都会 瀋陽(奉天)(瀋陽の旅)
第5章 “昭和”が香る霧とアカシアの都 大連・旅順(大連の旅;旅順の旅)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
toshokan-no-hito
3
もう30年近く前のことだが、延吉〜図們の辺りをうろうろとバックパッカーしていたことがある。いつか再訪したいものだと思っていたが、この本を読んでますます再訪したくなった。きっとあの頃のような、路上の埃が冷たい風に舞うような街ではなくなっているのだろうが、もう一度行ってみたい。そもそも私が生まれて初めて国境というものを見聞したのが図們の街だったのだ。2017/09/22
Kei
1
豆満江(図們江)沿いもいつの日か訪れてみたい。韓国人作者による満州紀行、朝鮮族と過去の在住日本人とのエピソードが中心。2018/06/16
色彩をもたない月
0
中国東北部の歴史上の出来事を旅行先の出会いとして知ることができた。日本史では学ばなかった琿春事件(日本軍が日本人居留民の保護を名目に〈在満〉朝鮮農民・独立運動家を虐殺し,間島侵略の口実とした事件)には胸が痛んだ。そんな中、「国と国の関係には恨みが多いですが、個人と個人の関係では日本人が嫌いな訳ではありません」などと非難されるかもしれないのに、同じ朝鮮の人に向かって言うことは自分だったらできないと思った。2023/11/14
-
- 電子書籍
- てーきゅう(15)(完結) アース・ス…
-
- 電子書籍
- 江戸前の旬 37