内容説明
かつては名うての博徒、今や寂れた蕎麦屋の銀平。最期に挑むは自らの生を賭した大博奕。人生の黄昏に涙する、時代小説の新たな傑作!
文庫シリーズ『落としの左平次』も大好評の著者、第26回大藪春彦賞受賞作!
たとえ落ちぶれようと、塵芥のように死んだとしても、一生懸命に生きたという事実は変わらない。ちっぽけな存在でも、誰かのために命を燃やすことができる。ひとりの男の生涯を通じて、作者は人間の生きる意味を謳い上げているのである。
細谷正充(書評家)――本書解説より
目次
第一章 桜草
第二章 貝殻餅
第三章 空蝉
第四章 夜鷹と小物
第五章 命か銭か
第六章 願わくば
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うわじまお
28
初読みの作家さん。読友さんのコメントに興味がわいて手に取った一冊です。江戸時代に生きた、一人の侠客・博徒、銀平(60歳)のお話。飢饉を逃れ北海道から父と江戸へ。そこから始まる山あり谷ありの人生。過去と今、関わったさまざまな人々と交わりながら、銀平劇場は終焉へと向かう。なんだか期待以上のとてもよい小説でした。感謝。2025/12/01
コニタン
6
この作品を読み終わって、ちょっと気が重かった。博打には勝ったが、人生最大の危機は、勝利の瞬間にあると言う事だなぁ。2025/06/02
南雲秋人
0
珍しく江戸時代を舞台にした小説でしたが、これがとても面白く、思わず驚かされました。 文字が大きく、ページ数も少ないため、すぐに読み終わるだろうと予想していたのですが、内容は非常に濃密で、読み応えのある一冊でした。 読み進めるうちに物語の世界に引き込まれ、ずっとその中に浸っていたくなるような、そんな魅力に満ちた作品です。 たまには、時代小説を読んでみたい、そう思う方には、ぜひおすすめします。2025/08/26
烏骨鶏
0
橋のたもとで儲けの出ない程度に営む蕎麦屋。訪れる常連客もそこはかとなく生に疲れた感じで、ふと起きた出来事もやりきれない方向へばかり流れていくのだが、その心の動きが私達市井に生きる人のありのままかも知れないなどと思う。 作中人物につい幸運を願ってしまうけど、そうじゃない展開が読後もなんだか胸にしみる。2025/08/23
ナオ
0
この題材で長編小説が書けるところがすごい。2025/03/18




