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内容説明
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、長年にわたり「政府の保護による衰退」を続けてきた日本の農業を覚醒させるきっかけとなった。「本書の執筆動機はきわめてシンプルです。経済学の考え方を使って、『農家の経営』ひいては『日本の農業』の今を正しく分析し、もっと“よくする”ための新たな議論を提起することです」(「まえがき」より)。しかし、既得権益にまみれる農林水産省の政策は、それとは反対に「どのようにして農家を“弱くする”か」に力を注いできたのだ。本書は気鋭のエコノミストと農業の最前線で取材するジャーナリストが、農業をめぐるタブーをことごとく論破する一冊。TPP危機説や「日本は土地がないから農業に適さない」「高齢化は深刻な問題」という説は全部ウソだということが、この本を読めば十分に理解できるはずだ。東日本の農家が放射能と風評被害に苦しむ今こそ、私たちが真正面から「産業としての農業」を考える時である。
目次
第1章 「食料危機」「弱い農業」は農水省の自作自演
第2章 経済学で農業政策を斬る
第3章 「自然」「国産」信仰のまやかし
第4章 農家の経営学―黒字農家を原価計算する
第5章 これが本物の「農業経営者」だ
第6章 アジアを「日本食」に染めよ!
第7章 東日本大震災で農業は滅びるのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
11
地方で農業か何かをして生計をたてたいと考えて読んだ。確かに私のような新規参入を考える人間にとっては、本書の通りに世の中が動けば、経済的に豊かになるだろう。しかし、1人の国民として考えると、先祖代々とか、国として食料安全保障と言った論理もよくわかる。統計的には、保護しないほうが産業は成長するというが、農業はいくらデータを見せられて可能性を語られても特殊ではあるから、いろいろ差し引いて本書を理解するべきと思った。2016/03/25
くさてる
8
経済学の視点から現在の日本農業の問題点と現状を分析した内容。第一章の「7%の成長農家が国産の6割を提供」のあたりから目から鱗の連続、でも、自分自身がなんとなく知っている農家の現状からしても実は意外なことではない。いままで見えているようで見えていなかった部分を説明してくれる、その切り口がとても面白く読めた。分かりやすい内容です。2013/11/19
セイタ
2
経済学者と農業関係の編者者が書いた本!日本の農業は弱いという幻想を打ち砕くために書かれている。そして日本の農業が弱いという幻想は農林水産省によって作られたものだと述べられている。カロリーベース自給率や国家安全保障のための農業自給率の向上などがいかに無意味であるかが述べられている。2021/06/27
ミスタ!
2
まず、農協と農林水産省を単純に悪者扱いしていないところがよい。だいぶ悪者扱いしてるけど、全否定ではないので、大目に見よう。でも、農業の所得に関しては、これ税金とかも全部含めてなのかよくわからん。あと、ある会社が例として出されているんだけど、その会社だと経常利益率1%程度なんだけど、ほんとにそんなんでいいのだろうか。製造業に比べたらだいぶ厳しいと思うんだけど。2011/07/11
テツオ
1
片方の人は個人的にあまり好きではないのだが、カロリーベースの自給率の問題点の指摘など共感できるところが多々あった。2014/09/16